離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
15、夫の真実
セインは現場近くの町の診療所へ運ばれた騎士たちの様子を報告した。
どうにか会話ができる者に聞いた話では、事故当時の記憶が曖昧らしく、フィリクスについてはまったくわからないという。
フィリクスの乗っていた馬車は潰れていたが、そこに人はいなかったようだ。扉の部分が壊れていたので外へ投げ出されたのだろうと話した。
「すぐそばに深い谷がありました。崩れた岩石がそのまま落下したようなので、旦那様は巻き込まれた可能性があります」
アリシアは驚愕の表情で言葉を詰まらせる。
そばにいるエレナがアリシアの肩を抱いて、セインに訊ねた。
「では、旦那様の姿を確認したわけではないのね」
「ああ。生死は不明だが、戦場をよく知るお方だ。このようなときの対処法は心得ているはず」
「では、生きていらっしゃる可能性も?」
「十分にあり得る」
セインが力強くそう言ったので、アリシアは張りつめていた緊張がほどけたように涙があふれた。
「安堵するにはまだ早い……ですが、希望はあります」
セインはアリシアを励ますようにそう言った。
どうにか会話ができる者に聞いた話では、事故当時の記憶が曖昧らしく、フィリクスについてはまったくわからないという。
フィリクスの乗っていた馬車は潰れていたが、そこに人はいなかったようだ。扉の部分が壊れていたので外へ投げ出されたのだろうと話した。
「すぐそばに深い谷がありました。崩れた岩石がそのまま落下したようなので、旦那様は巻き込まれた可能性があります」
アリシアは驚愕の表情で言葉を詰まらせる。
そばにいるエレナがアリシアの肩を抱いて、セインに訊ねた。
「では、旦那様の姿を確認したわけではないのね」
「ああ。生死は不明だが、戦場をよく知るお方だ。このようなときの対処法は心得ているはず」
「では、生きていらっしゃる可能性も?」
「十分にあり得る」
セインが力強くそう言ったので、アリシアは張りつめていた緊張がほどけたように涙があふれた。
「安堵するにはまだ早い……ですが、希望はあります」
セインはアリシアを励ますようにそう言った。