用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
第三章
隣国カムリセラ国は、西と東が海に面しており、貿易が盛んな国だ。年間を通して穏やかな気候で、極端に寒くなったり暑くなったりすることがほとんどなく、農作物の生産量では周辺国をしのいでいる。
エレインの母国・ヘルナミス国とは山を一つ隔てただけで、昔から友好な関係を築いてきた。国境を超える山道も、両国の出資のもと整備されたことから、領国の王都から王都までの間を馬なら三日、馬車なら十日あれば行き来できた。
そして、エレインが母国を発ってから早十日が経とうとしていた。
「見てごらん、あそこに見える街を超えると王都だ。明日には王宮に着くね」
休憩に立ち寄った宿の窓から街並みを指しながら、アランが言った。
エレインとニコルも大きな窓から身を乗り出す。
「わぁ、すごい大きな街ですね」
「あれは王都ではないんですよね?」
「そうだね、王都はあれよりももっと大きいよ」
(ヘルナミスよりもとても大きいのね)
国土もカムリセラの方が1.5倍ほど大きいと、妃教育で習って聞いて知っていたが、いざ目にするとその差は歴然だった。
ここまでの道中、人の多さも母国の比じゃないほどに多くて圧倒されたほど。
そしてもう一つ、エレインがとても驚いたことがあった。
(どこもかしこも、ふわふわさんたちでいっぱい……)
街は母国よりも建物が多く、人で賑わっているのに、そこかしこに精霊がいるのだ。街から外れた自然が豊富なところにはもっとたくさんいる。
そしてどこでも、精霊はエレインに気付くとふわふわと近づいてきて、歓迎してくれているようだった。
中にはずっとついてくる精霊もいて、カムリセラに来てからエレインの周りはとても賑やかになった。
「殿下、お食事のご用意ができました」
「ありがとう、セルジュ。さ、みんなで食事にしよう」
エレインの母国・ヘルナミス国とは山を一つ隔てただけで、昔から友好な関係を築いてきた。国境を超える山道も、両国の出資のもと整備されたことから、領国の王都から王都までの間を馬なら三日、馬車なら十日あれば行き来できた。
そして、エレインが母国を発ってから早十日が経とうとしていた。
「見てごらん、あそこに見える街を超えると王都だ。明日には王宮に着くね」
休憩に立ち寄った宿の窓から街並みを指しながら、アランが言った。
エレインとニコルも大きな窓から身を乗り出す。
「わぁ、すごい大きな街ですね」
「あれは王都ではないんですよね?」
「そうだね、王都はあれよりももっと大きいよ」
(ヘルナミスよりもとても大きいのね)
国土もカムリセラの方が1.5倍ほど大きいと、妃教育で習って聞いて知っていたが、いざ目にするとその差は歴然だった。
ここまでの道中、人の多さも母国の比じゃないほどに多くて圧倒されたほど。
そしてもう一つ、エレインがとても驚いたことがあった。
(どこもかしこも、ふわふわさんたちでいっぱい……)
街は母国よりも建物が多く、人で賑わっているのに、そこかしこに精霊がいるのだ。街から外れた自然が豊富なところにはもっとたくさんいる。
そしてどこでも、精霊はエレインに気付くとふわふわと近づいてきて、歓迎してくれているようだった。
中にはずっとついてくる精霊もいて、カムリセラに来てからエレインの周りはとても賑やかになった。
「殿下、お食事のご用意ができました」
「ありがとう、セルジュ。さ、みんなで食事にしよう」