「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)

chapter2ーー渇きには笑みを

「看護師が15分くらい前に、血液を持って入ったわ」

ユリウスが手術室前に戻ると、マルグリットが今にも泣き出しそうな顔を向けた。

「ユリウス、宗月の血液型はAB型ではなかったのね。クレアは……」

「その話は今は。憶測で話をするのはよそう」

「でも大事なことだわ」

「俺たちは宗月とクレアの事情を何も知らない」

「でも……」

「マルグリット、詩月が酷く動揺している。今、処置室で休んでいて、エィリッヒが側についている」

ユリウスは「いいな。この話は無しだ」と念を押した。

マルグリットは「わかったわ」と言うほかなかった。

クレアが手術室前に着いたのは、ユリウスたちが話し終えて間もなくだった。

事情を確かめるのは、今でなくてもいい。

ユリウスはマルグリットと顔を見合わせた。

宗月の手術は数時間後に終了した。

「手術は無事に終わりました。命に別状はありません」



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