「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)
episode 10ーー面影

chapter 1ーーポーカーフェイス

詩月は宗月が退院するまで、クレアとはすれ違いばかりだった。

クレアとはユリウスの家でお世話になっていながら、挨拶程度しかできていなかった。

宗月が退院してきて、やっと食卓を共にした。

詩月はサロンの仕事で疲れて帰るマルグリットに代わり、夕飯を作ることもあった。

「上手いもんだな。いつの間に上手くなったんだ?」

「少し薄くはない? 僕のぶんの味付けより濃くはしているけれど」

「いいえ、丁度いいわよ。ねえ、宗月さん」

「基本くらいは、何とかね。……それより、母さん。帰国する前に恩師の墓参りはしておいた方がいいと思うけど。20年前の葬儀以降、1度も会っていないんだろう」

「ええ。日本を出たのは初めてね」

「教授の月命日と命日には欠かさず詣って、君のぶんも祈っている」

「そう。不義理はしていないんだな。母さん、僕は事実を知った以上、3人揃ってちゃんと墓参りをしたい」
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