転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる～無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉～

第一章 冷酷無比なお兄様に拾われる

　クロウに拾われて屋敷で育てられることになった後。
　アウルはクロウの馬車に乗せられて、従者のストークが手綱を取り屋敷まで連れられることになった。
　その間、客室であるキャビンの中で、アウルとクロウはふたりきりになる。

「……」

　特になにも話すことがなく、なにより無表情で見つめてくるクロウに気圧されてアウルは口を開くことができなかった。
　実に気まずい沈黙がふたりの間に訪れる。

（……なんで無言で見つめられてるんだろう？）

　なぜか馬車に乗ってからジッと顔を見られている気がする。
　なにか怪しまれている？　もしかして転生者だと気付かれた？
　など色々な不安に晒されて、密かに脂汗を滲ませていると、従者のストークが気を利かせるように御者の席から話しかけてきた。

「ブランチの森の視察はいかがでしたか、クロウ様？」

「概ね予想通りだったな。やはり森の開拓を穏便に進ませるには、先に魔物の駆除を優先した方がよさそうだ」

「でしたら生息している魔物の調査から取りかかり、その後軍の手配を……」

　おかげで気まずい沈黙がなくなり、ついでに話の内容から改めてクロウがこの辺境地であるマグノリア領の開拓を任されていることを再確認する。