Reunion love.
Episode5
──────Side 太一


「何か今日ずっと変なんだよね。息してんのかな?」

「大丈夫なんじゃね。人間だしたまに変なくらいの方が正常だって」

「そうかな…。でも太一機械だから変だとダメかも。メンテナンスいるかなあ。でもこんなのどこで見てくれるんだろう」

「廃品置き場にでも置いて回収してもらえば?」


 勝手に俺が飯食ってる目の前まで来て勝手な事を話すあほカップル。名前は言わずとも分かると思うが川﨑さんと、その恋人の及川さんだ。

 段々といらいらしてきて唐揚げ定食に手を付けていたのだけど、持っていた箸をテーブルに叩きつけて「あの」とようやくそこで口を開いた。


「うるさいんすけど。何なんすかまじで。放っとくってこと知りませんよね、先輩」

「あ、怒った。太一だ」

「怒ったら太一だって言うのやめてもらえます?てか2人で飯食ってこいよ。鬱陶しい」

「先輩を敬え!」

「そうだそうだ」


 昨日と似た様な事を言う先輩とヤジを飛ばしているその彼氏。鬱陶しいにも程がある。


「でも本当に心配はしてる。何があったか話してごらんよ、先輩が聞いてあげるからさ!」


 そう胸を張って言う先輩を見て、軽く溜息を吐く。

 原因全部あんただよ。なんて言える訳もない。

 そもそもこの人の彼氏がここに居る状態で、元カノに川﨑先輩を好きでしょって言われたなんて、言えるはずがない。

 面倒な事に巻き込まれるのは御免だし、そもそも本気で俺はこの人を好きじゃない。

 俺がこの人の前で素で居られるのは、随分長く居る会社の先輩後輩でしか無いから。

 気を遣っても仕方ないし、当然先輩を恋愛の意味を除いて好きかどうかを問われたら嫌いではないがそれ以上も以下も無い。
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