【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
第39話 捕縛
私は公爵様に寄り添いながら男を眺めていた。すでに口枷まで付けられている男は、ただ何もできずにもがくだけだ。そんな無様な男に、セヴァルは声をかける。
「お嬢様を連れて行かせはいたしませんよぉ……私の大事な同僚ですからねぇ」
普段の彼とは違う……背筋が凍るような声。その上、貼り付けたような笑みを浮かべているので、より恐怖を煽る。男はセヴァルの言葉を聞いた途端、動きを止めた。いや、正確に言えば小刻みに震えているが……。
公爵様は彼の言葉にため息をついている。その姿を見て強張っていた身体の力が、抜けたような気がした。
私は彼を一瞥してから、セヴァルに声をかけた。
「あら、理由はそこなのね」
研究が好きなのは変わらないわね、とセヴァルの言葉に笑うと、彼は驚いたような声を上げた。
「おや、お嬢様は私のこの仕事についてお気付きでしたか?」
「ええ、何となく察していたわ。セヴァルって時々足音が聞こえなくなるもの。それに、普段の気配も薄いような気がしていたわ」
まさかここに助けに来るとは思っていなかったけれど、と話せば、飄々と「公爵様に頼まれましたのでねぇ」と肩をすくめるセヴァル。普段のような空気感に戻った彼は、警備の者がやってくることに気がつくと公爵様に頭を下げた。
「では私はこれで」
「ああ、助かった」
その足でセヴァルは敵の男へと歩いていく。
「……もし逃げ出したりすれば、私が地の果てまであなたを追いかけますからねぇ……?」
耳元で囁かれた言葉に血の気が引いた男は、首が取れてしまうのではないかというほど首を縦に振る。怖いわよねぇ……セヴァル。彼が消えたと同時に、私たちは後ろから声をかけられた。振り向くとそこにいたのは、黒いローブを身に纏っている性別の分からない人達。唯一出ているのが、口元だけだ。
「この男は私たちが預かります。公爵様とブレンダ様は広間へお集まりください。そしてブレンダ様、皇帝陛下より伝言でございます。『よろしく頼む』と」
「承知いたしました。全力で応えてみせますわ」
その言葉に満足したのだろう、彼らは男を担ぐと……音もなく去っていく。
見届けた私たちは、お互い顔を見合わせて微笑んだ後、公爵様から差し伸べられた手を取る。その手は以前よりも優しいような気がして……少しだけ絆が深まったのかもしれない、なんて私は期待してしまった。
「お嬢様を連れて行かせはいたしませんよぉ……私の大事な同僚ですからねぇ」
普段の彼とは違う……背筋が凍るような声。その上、貼り付けたような笑みを浮かべているので、より恐怖を煽る。男はセヴァルの言葉を聞いた途端、動きを止めた。いや、正確に言えば小刻みに震えているが……。
公爵様は彼の言葉にため息をついている。その姿を見て強張っていた身体の力が、抜けたような気がした。
私は彼を一瞥してから、セヴァルに声をかけた。
「あら、理由はそこなのね」
研究が好きなのは変わらないわね、とセヴァルの言葉に笑うと、彼は驚いたような声を上げた。
「おや、お嬢様は私のこの仕事についてお気付きでしたか?」
「ええ、何となく察していたわ。セヴァルって時々足音が聞こえなくなるもの。それに、普段の気配も薄いような気がしていたわ」
まさかここに助けに来るとは思っていなかったけれど、と話せば、飄々と「公爵様に頼まれましたのでねぇ」と肩をすくめるセヴァル。普段のような空気感に戻った彼は、警備の者がやってくることに気がつくと公爵様に頭を下げた。
「では私はこれで」
「ああ、助かった」
その足でセヴァルは敵の男へと歩いていく。
「……もし逃げ出したりすれば、私が地の果てまであなたを追いかけますからねぇ……?」
耳元で囁かれた言葉に血の気が引いた男は、首が取れてしまうのではないかというほど首を縦に振る。怖いわよねぇ……セヴァル。彼が消えたと同時に、私たちは後ろから声をかけられた。振り向くとそこにいたのは、黒いローブを身に纏っている性別の分からない人達。唯一出ているのが、口元だけだ。
「この男は私たちが預かります。公爵様とブレンダ様は広間へお集まりください。そしてブレンダ様、皇帝陛下より伝言でございます。『よろしく頼む』と」
「承知いたしました。全力で応えてみせますわ」
その言葉に満足したのだろう、彼らは男を担ぐと……音もなく去っていく。
見届けた私たちは、お互い顔を見合わせて微笑んだ後、公爵様から差し伸べられた手を取る。その手は以前よりも優しいような気がして……少しだけ絆が深まったのかもしれない、なんて私は期待してしまった。