妹ばかり見ている婚約者はもういりません
7.気になることばかり
「はぁー、集中出来ませんわ……」
ダンスパーティーから数日が経った頃。私はラウロ様のお屋敷の客室で、机に向かって課題とにらめっこしていた。
あのダンスパーティーの日は、途中まではすごく楽しかった。ラウロ様に選んでもらった綺麗なドレスを着て、一緒に踊って。
けれど、コルラード殿下と話してから、そんな高揚する気持ちはすっかり消えてしまった。
彼の言っていたあの意味深な言葉はなんだったのだろう。
「ラウロに近づかないほうがいい」とは一体どういう意味なのか。私を利用するつもりって? 考えても答えは出ない。
ラウロ様本人に聞いてみようかとも思ったけれど、二人の仲はあまりよろしくないようだし、殿下の言葉にはどう考えても悪意が滲んでいたので、直接尋ねるのは躊躇われた。
「ラウロ様が私の植物に効く光魔法を必要としているって本当なのかしら」
そういえば、最初に声をかけられたのも私が花壇で植物に魔法をかけているときだったと思い出す。私の魔法がラウロ様の役に立つのだろうか。
どうしてあの時初対面だった私にここまで親切にしてくれるのか不思議だったけれど、私に何らかの利用価値があるのなら納得がいく。
もし私の光魔法が必要で、利用したいと思っているならそれはそれで全く問題はない。
むしろ、ただお世話になっている今の状況が申し訳ないので、出来ることがあるのなら何でもしたいくらいだ。
ただ、それにしてはラウロ様から特に何も頼まれることがないのが不思議だった。
「ジュスティーナ嬢、入っても大丈夫か」
「あ、はい! どうぞ!」
扉の外からラウロ様の声が聞こえ、私は慌てて返事をする。
ちょうどラウロ様のことを考えているときに本人の声が聞こえてきたので、どぎまぎしてしまった。
扉を開けると、そこには大きな箱を抱えたラウロ様が立っていた。
「ジュスティーナ嬢。今ある着替えだけでは足りないかと思って、エルダさんに新しい服を用意してもらったんだ。よかったら着てくれ」
「まぁ……! ご親切にありがとうございます」
現在私は、ここに来るとき着ていた制服以外に服がないので、ラウロ様がお屋敷の倉庫から出してきてくれたお洋服を何枚か借りて着させてもらっていた。
それだけで十分だったのに、わざわざ新品の服まで用意してくれたらしい。
「ほかにも必要なものがあったら遠慮なく言ってくれ」
ラウロ様は箱を置くと、真面目な顔で言う。
ここまでしてもらっていいのかと、なんだか申し訳なくなった。
「本当にありがとうございます。あの、ラウロ様」
「なんだ?」
「私に何か出来ることはないでしょうか。たくさんお世話になったので何かお返ししたいですわ!」
私が勢い込んで言うと、ラウロ様は首を傾げる。
「いや、お返ししてもらう程のことはしていないから気にしなくていい」
「とんでもないですわ! すごくお世話になっております! 何か出来ることはないでしょうか。ほら、たとえばお掃除とか、お料理とか、お洗濯とか……! うちのお屋敷は使用人が少ないので、私も少し家事をやっていたんです。お手伝いなら出来ると思いますわ!」
私はなんとか思いつくことを並べる。
しかし、ラウロ様は首を横に振った。
ダンスパーティーから数日が経った頃。私はラウロ様のお屋敷の客室で、机に向かって課題とにらめっこしていた。
あのダンスパーティーの日は、途中まではすごく楽しかった。ラウロ様に選んでもらった綺麗なドレスを着て、一緒に踊って。
けれど、コルラード殿下と話してから、そんな高揚する気持ちはすっかり消えてしまった。
彼の言っていたあの意味深な言葉はなんだったのだろう。
「ラウロに近づかないほうがいい」とは一体どういう意味なのか。私を利用するつもりって? 考えても答えは出ない。
ラウロ様本人に聞いてみようかとも思ったけれど、二人の仲はあまりよろしくないようだし、殿下の言葉にはどう考えても悪意が滲んでいたので、直接尋ねるのは躊躇われた。
「ラウロ様が私の植物に効く光魔法を必要としているって本当なのかしら」
そういえば、最初に声をかけられたのも私が花壇で植物に魔法をかけているときだったと思い出す。私の魔法がラウロ様の役に立つのだろうか。
どうしてあの時初対面だった私にここまで親切にしてくれるのか不思議だったけれど、私に何らかの利用価値があるのなら納得がいく。
もし私の光魔法が必要で、利用したいと思っているならそれはそれで全く問題はない。
むしろ、ただお世話になっている今の状況が申し訳ないので、出来ることがあるのなら何でもしたいくらいだ。
ただ、それにしてはラウロ様から特に何も頼まれることがないのが不思議だった。
「ジュスティーナ嬢、入っても大丈夫か」
「あ、はい! どうぞ!」
扉の外からラウロ様の声が聞こえ、私は慌てて返事をする。
ちょうどラウロ様のことを考えているときに本人の声が聞こえてきたので、どぎまぎしてしまった。
扉を開けると、そこには大きな箱を抱えたラウロ様が立っていた。
「ジュスティーナ嬢。今ある着替えだけでは足りないかと思って、エルダさんに新しい服を用意してもらったんだ。よかったら着てくれ」
「まぁ……! ご親切にありがとうございます」
現在私は、ここに来るとき着ていた制服以外に服がないので、ラウロ様がお屋敷の倉庫から出してきてくれたお洋服を何枚か借りて着させてもらっていた。
それだけで十分だったのに、わざわざ新品の服まで用意してくれたらしい。
「ほかにも必要なものがあったら遠慮なく言ってくれ」
ラウロ様は箱を置くと、真面目な顔で言う。
ここまでしてもらっていいのかと、なんだか申し訳なくなった。
「本当にありがとうございます。あの、ラウロ様」
「なんだ?」
「私に何か出来ることはないでしょうか。たくさんお世話になったので何かお返ししたいですわ!」
私が勢い込んで言うと、ラウロ様は首を傾げる。
「いや、お返ししてもらう程のことはしていないから気にしなくていい」
「とんでもないですわ! すごくお世話になっております! 何か出来ることはないでしょうか。ほら、たとえばお掃除とか、お料理とか、お洗濯とか……! うちのお屋敷は使用人が少ないので、私も少し家事をやっていたんです。お手伝いなら出来ると思いますわ!」
私はなんとか思いつくことを並べる。
しかし、ラウロ様は首を横に振った。