離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
2.離婚予定だったのに
律がアメリカから総合医療センターへと帰ってきて二週間ほど。
院内で彼の噂を聞かない日はない。それほど律は注目の的だった。
院長の息子であり、神の手と呼ばれるアメリカ人医師お墨付きの腕の持ち主。そしてなにより目を見張るほどのイケメンでスタイルも抜群だ。
多少……いや、かなり無愛想かつ塩対応ではあるけれど、それは同じ医療従事者に対してだけで、患者には真摯に対応している。
すでに数件の手術を執刀していて、厳しいと噂の脳外部長も律の巧みな手技に驚き絶賛しているという。
さらに、この病院に勤める女性医療従事者のメイクが濃くなったと男性陣に揶揄されるほど、律に熱視線を送る女医や看護師が多い。
未依が夜勤を終えて更衣室へ入ると、今日もまた数人の看護師が勤務明けとは思えないテンションで盛り上がっていた。
「あーあ。私も脳外の病棟に異動したーい」
「なによ、一番男ウケがいいって学生の頃から小児科一筋のくせに」
「そうだけど、まさかあんなにイケメン兄弟がいるなんて思わないじゃん。かといって、さすがに救急科には行きたくないし。オペ看も無理だし、病棟くらいならさー」