45歳、妊娠しました
第17話 結果の日
病院の待合室は、あの日と同じ消毒液の匂いに包まれていた。
美香は両手を固く組み、視線を床に落とす。
横に座る健一も、無言で小さく息をついている。
「佐藤美香さん」
名前を呼ばれ、二人は同時に顔を上げた。
診察室に入ると、医師が分厚いファイルを開き、眼鏡をかけ直した。
心臓の鼓動が耳の奥で響く。
美香は思わず健一の袖を握った。
「検査結果ですが──」
医師が一呼吸置き、淡々と告げた。
「異常は認められませんでした。お子さんは順調に育っていますよ」
その瞬間、美香の目から大粒の涙がこぼれた。
張り詰めていた糸が切れ、深い安堵に身体が包まれる。
隣で健一も目を赤くしながら、小さく
「よかったな」
とつぶやいた。
帰宅すると、リビングで待っていた結衣が勢いよく立ち上がった。
「どうだったの?」
美香は涙をぬぐいながら、娘を抱きしめた。
「大丈夫だったの。元気に育ってるって」
結衣の瞳がうるみ、声が震える。
「……ほんとによかった」
その言葉に、美香は娘の成長を感じ、胸がいっぱいになった。
長い不安のトンネルを抜けた今、ようやく心から“この子を迎える準備”ができた気がした。
美香は両手を固く組み、視線を床に落とす。
横に座る健一も、無言で小さく息をついている。
「佐藤美香さん」
名前を呼ばれ、二人は同時に顔を上げた。
診察室に入ると、医師が分厚いファイルを開き、眼鏡をかけ直した。
心臓の鼓動が耳の奥で響く。
美香は思わず健一の袖を握った。
「検査結果ですが──」
医師が一呼吸置き、淡々と告げた。
「異常は認められませんでした。お子さんは順調に育っていますよ」
その瞬間、美香の目から大粒の涙がこぼれた。
張り詰めていた糸が切れ、深い安堵に身体が包まれる。
隣で健一も目を赤くしながら、小さく
「よかったな」
とつぶやいた。
帰宅すると、リビングで待っていた結衣が勢いよく立ち上がった。
「どうだったの?」
美香は涙をぬぐいながら、娘を抱きしめた。
「大丈夫だったの。元気に育ってるって」
結衣の瞳がうるみ、声が震える。
「……ほんとによかった」
その言葉に、美香は娘の成長を感じ、胸がいっぱいになった。
長い不安のトンネルを抜けた今、ようやく心から“この子を迎える準備”ができた気がした。