45歳、妊娠しました
第43話 結果通知
四月の始め。ポストに届いた一通の封筒を、美香は緊張した面持ちで手に取った。
差出人は、市役所の保育課。
──保育園入園選考結果通知。
心臓が早鐘を打つ。手の中で小さく震える封筒を、居間のテーブルに運んだ。
「あなた、結衣。届いたわ」
呼びかけに、新聞を読んでいた健一が顔を上げ、参考書を広げていた結衣も駆け寄ってくる。
三人でテーブルを囲み、静まり返った空気の中、美香は封を切った。
──『入園承諾通知』。
「……入れたわ!」
思わず声を上げる美香。
結衣がぱっと笑顔になり、健一も大きく息をついた。
「よかったな、美香。これで復職の道も見えてくる」
「ほんとに……。まさか第一希望で決まるなんて」
書類には、四月から駅近くの認可保育園に入園が決まったことが記されていた。
清潔で明るく、見学のときに「ここなら安心できそう」と思った園だ。
結衣が蓮を覗き込みながら言う。
「蓮くん、よかったね。これで保育園のお友達ができるよ」
その声に応えるように、蓮が小さな手をぱたぱたと動かす。
美香の胸にこみ上げるものがあった。
高齢出産に伴う不安も、キャリアとの両立への迷いも、すべてが一気に報われるような気がした。
「……さぁ、これから忙しくなるわよ」
書類をしっかりと握りしめながら、美香は前を向いた。
母として、働く女性として。新しい日々への準備が、ついに始まろうとしていた。
差出人は、市役所の保育課。
──保育園入園選考結果通知。
心臓が早鐘を打つ。手の中で小さく震える封筒を、居間のテーブルに運んだ。
「あなた、結衣。届いたわ」
呼びかけに、新聞を読んでいた健一が顔を上げ、参考書を広げていた結衣も駆け寄ってくる。
三人でテーブルを囲み、静まり返った空気の中、美香は封を切った。
──『入園承諾通知』。
「……入れたわ!」
思わず声を上げる美香。
結衣がぱっと笑顔になり、健一も大きく息をついた。
「よかったな、美香。これで復職の道も見えてくる」
「ほんとに……。まさか第一希望で決まるなんて」
書類には、四月から駅近くの認可保育園に入園が決まったことが記されていた。
清潔で明るく、見学のときに「ここなら安心できそう」と思った園だ。
結衣が蓮を覗き込みながら言う。
「蓮くん、よかったね。これで保育園のお友達ができるよ」
その声に応えるように、蓮が小さな手をぱたぱたと動かす。
美香の胸にこみ上げるものがあった。
高齢出産に伴う不安も、キャリアとの両立への迷いも、すべてが一気に報われるような気がした。
「……さぁ、これから忙しくなるわよ」
書類をしっかりと握りしめながら、美香は前を向いた。
母として、働く女性として。新しい日々への準備が、ついに始まろうとしていた。