大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

10章:告白

 乗せられたのは、穂高の車の助手席だった。

「あ、電車で帰りますので、駅までで――」
「ダメ」

 即答だった。

「部長、お酒は?」
「さっき帰ってきたんだ。飲んでない」

 そう言って、穂高は落ち着いた動作でシートベルトを締め、キーを回す。エンジン音が静かに重なった。

「そうだった……。すみません。お疲れのところでこんなことになって……」
「言っただろう。俺が一人で帰したくなかっただけ。……住所教えて」

 短いが、すごく優しい声だった。
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