大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

16章:別れ


 翌日。開発部へ入るなり、篠田さんがやってきて微笑む。

「いやぁ、さっき部長の頬、見たよ。名誉の負傷ってやつじゃない。男前がまた上がっちゃってるじゃないの!」

 軽口に見せかけた気遣いをしてくれてるってわかる。
 周りの雰囲気でも、もう昨日の出来事は、噂として全部伝わっているのがわかった。

 私は申し訳なくて、深く頭を下げていた。

「本当に……お騒がせしてばかりで申し訳ありませんでした」
「部長も千紘さんも、一方的な被害者でしょ。謝る必要なんて一つもないわ」

 篠田さんが言いきり、周りにいたメンバーも「そうだよ」と頷く。
 優しい言葉に胸が温かくなる。
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