大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
4章:大切な人と俺の過ち/穂高side
そもそも俺はそんなに大したことのない人間で、研究を始めたのだって一つの『逃げ』だった。
それが少し面白くなってきていたある日の研究会の発表のあと、目をキラキラさせて「私、あなたのファンになったんです!」なんて言ってくる女の子がいて……。『今は研究が面白くなってきてるし、女性関係は断ってるんだよな』なんて思ったら、その子は全然俺になんて興味なくて、本当に研究のことしか聞いてこない。
『え、俺に興味ないんだ?』って、ちょっと……というか、かなり嫌な感じで驚いたわけだ。
自分で言うのもなんだけど、結構モテてたからね。でも、その子は、本当にキラキラしたまなざしで、恋愛なんて関係なく、俺をとにかく尊敬してくる。
なんだか自分が恥ずかしくなってさ、俺はその子の疑問に一つ一つ答えることになった。
日本からの留学生だというその子は、苦学生ってやつで、親はシングルマザー。大学の奨学金だけでサンディエゴの地に立っていた。
俺もシングルマザーの元で育ったが、父親という存在のおかげで、お金だけには不自由したことがなくて……。あぁ、世の中にはお金がなくても勉強しようって子がいるんだ、と、なんだか感慨深い気持ちになった。
憐み? 近いけど少し違う。今まで周りにいなかったタイプだから、面白かったのかもしれない。
でも、もっと面白いと思ったのは、彼女はお金以外はなんでも持っていたことだ。
気の置けない親友、かわいがって親身になってくれる教授、そして素直な言葉と表情。
研究だって、俺にとっては、俺より彼女の方が面白い発想をする。それは彼女には当たり前で、彼女自身は気づいていないようだった。
俺は彼女といる時間が楽しくなってきて、先に彼女にはまったのは間違いなく俺の方だ。
彼女を見ていると、色々教えたくなる。話したくなる。もっと喜ばせたい。あぁ、いまさらだけど、恋愛感情ってこんなのなんだって思ったりして……。
でも、彼女の方はどうなんだろう。
どうも、好意は持ってくれているのはわかるが、恋愛感情とはちょっと違いそうにも思っていた。