バタフライ エフェクト

第十二話 傷心

「えっ、梨々愛さん?」



江原田さんに一歩ずつジリジリと近づく香菜子に、様子がおかしいと察した彼女は、私を見た。

江原田さんの前では香菜子に「さん」付けすると決めたけれど、そんなことに構っている余裕がなくなり、
「江原田さん、梨々愛じゃない! 香菜子が取り憑いているの!!」
と、私は叫んだ。




「香菜子様が? そんな、まさか」



香菜子が亡くなったことを説明する間もなく、香菜子は江原田さんに走り寄り、凶器の彫刻像で彼女の頭をガンッと殴った。



「あああぁぁあっ!!!」



痛みに叫んでうずくまる江原田さんを、香菜子は笑って見下ろす。



「あはっ、あはははっ!! 苦しむといいわ! どれほどの間、あなたにこうしてやりたかったか!」

「江原田さん!!」



私が江原田さんにかけ寄ると、彼女が頭をおさえている手は、真っ赤に染まっていた。



「紫さん、あの、どういうことなんでしょう?」



混乱の目を私に向けて、
「助けてください……」
と、小さく呟いた。



「香菜子は、亡くなったんだと思います。それで、梨々愛の体に取り憑いているんです」
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