傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
第六夜 甘い夜に抱かれて
名取くんとの生活は1日1日がとても新鮮だった。


一番驚いたことは、広々とした立派なアイランドキッチンがあるというのに、名取くんは一切料理をしない。

忙しくて料理を作る時間がもったいないとかで、食事のほとんどはゼリータイプの栄養補助食品で済ませているらしい。


「それだけでお腹空かない?」

「でもまあ、食べる時間もないときがあるから慣れかな」


名取くんはそう言うけど、やっぱり体調面が気になる。

そこで、朝ごはんを作ってみるとすぐに反応してくれた。


「澪、すっごくおいしい」


サラダとオムレツというシンプルな朝食に、名取くんは目を輝かせながら頬張っていた。


「これからはわたしに料理を作らせて。もし、ゼリーのほうがいいなら無理に食べてもらわなくてもいいんだけど…」

「そんなことない。澪が手料理作って待っていてくれるのなら、俺、仕事を早く終わらせて帰ってくるから」


富士川家にいたときみたいに、仕事として料理を作るわけじゃない。

だれかを想って作る料理って、こんなにも楽しいんだ。


今日はなにを作ろう?

名取くんは喜んでくれるかな?


そんなことを思い、考える毎日はとっても有意義で、だれにも知られてはいけない秘密の結婚だったとしても、わたしは幸せでいっぱいだった。
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