13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。

①①

 海堂が実は幼馴染だと知り、肩の力は抜けた。
 けれど今度は違う意味で緊張している。
 別人になった蒼士は可愛らしさを捨てた代わりに蠱惑的な色気を手に入れた。
 蒼士はどう迫れば断られないかを知っているし、美澪は今でも押しに弱い。
 そんなだから、間近に迫る蒼士を傷つけたくない。腿に置かれた彼の手に自分の手を重ね、力なく握るので精一杯だった。

「美澪、抵抗しないなら、キスしてしまう」
 目を細め、美澪にも目を閉じるよう促す。蒼士からのキスを受け入れるということは、気持ちの全てを認めるということだ。
 どうすれば良いのか分からない。嫌ではないから困っている。
 躊躇っている間に、唇は重なっていた。
 触れられたのを脳が理解するまでにタイムラグが生じる。目を閉じるタイミングは失った。
 ゆっくりと蒼士の顔が離れ、再び目が合った時、ようやくキスされたのだと自覚した。

「ずっと、好きだったんだ。いつだって美澪だけが心の支えだった」

 子供の頃から慕っていた蒼士から一途に想われていたと知り、嬉しいはずなのに、美澪は罪悪感に苛まれる。
 自分は蒼士のような人から好かれる資格なんてないと、冷静な自分が訴えてくる。

 美澪はもう恋愛をしないと決めていた。
 それには理由があった。
「私は、誰のことも幸せになんて出来ないの」
 言葉と同時に涙が溢れた。
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