13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。

①③

 結局、夫との仲は険悪の一途を辿り、離婚が決まった。美澪の両親は納得してくれたが、義父母はそうはいかなかった。
「子供が産まれてから別れるなんて、昔はそんなの許されなかった。美澪さんはちょっと我慢が足りないんじゃないかって。息子を支えてあげないといけない立場なのを理解しないまま結婚したのかって。うちの息子があまりにも可哀想だって詰め寄られて……」
「謝るしかなかったと?」
「仕方ないよ。言い返すほどに話しは進まないし。うちの親も疲れ果てて、美澪が悪いから別れてやって下さいって。その態度も気に入らなかったみたい。軽くあしらわれたって癇癪を起こして……どうにも止められなかった」
「本当に結婚生活を続けて欲しかったのかと疑問になるな」
「続けて欲しかったんじゃないかな。世間体を凄く気にする義父母だったから。息子が大学を辞めてまで結婚したのに、二年で離婚したんだもん。結婚式だって挙げてないし。カッコつかない事ばかりして、どうしようもない女に捕まったもんだと思ってるでしょうね」
 乾いた笑いを吐き出すも、思い出しただけで疲労が蘇る。

「それで、その子供は?」
「勿論、義父母が離さなかった。この子はウチの子だからって」
「美澪はそれで良かったのか」
「そりゃ嫌だったよ。夫に育てられるとは考えられなかったし。でも、子供を育てるためにかかる費用……それを支払えたなら沙莉(さいり)を売ってやるって言われた」
「売るって……子供をなんだと思ってるんだ!!」

 蒼士が怒ってくれたので心が救われた。
 美澪は勝ち誇った笑みを浮かべる義父母に、何も言い返せなかった。

 離婚後、子供とは月一で会わせてくれていたが、時が過ぎるにつれ、スケジュールが合わないと言って二ヶ月に一度になり、三ヶ月に一度になり……。
「最終的には、再婚するからもう会えないって言われちゃった。新しい奥さんが、別れた妻と会ってほしくないって言ったんだって」
「美澪……」
「私が必死で働いてきたのも、娘の……沙莉のためだったんだ。提示された金額は私一人じゃどうにも出来ない。それでも何もせずにはいられなかった。少しでも希望が持てるなら……って。やりたい仕事なんて言ってられない。ただでさえ、専門学校を卒業してから二年以上過ぎてたし。採用してもらえるなら職種はなんでも良かった。それで入社したのが今の会社」

 最初の頃は良かった。忙しく働いている間は余計なことを考えずに済んだ。
 仕事を覚えるのも楽しかったし、任せてもらえる仕事が増えるのも嬉しかった。
 けれど、気付けばそんな会社に呑まれていた。
 深夜までの残業が当たり前になり、そのうち会社で寝泊まりする日も増えていった。
 違和感を覚え始めた時には、既に坂道を転がり落ちていたのだ。
 溜まっていく疲労。
 精神的にも体力的にも、限界を何度超えたのか数えられない。だんだん感覚が麻痺してきて、倒れるまで働き続けていた。
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