13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。

①④

 蒼士は何も言わず涙を掬ってくれた。
「あれ……私、泣いてた?」
「一人で抱えるには、重過ぎるだろう」
「こんなこと、誰にも言えないよ。賢吾にだって話してないし」
「俺には話してくれて、ありがとう。本当は、話したくなかっただろう」

 どうだろう……と考え込む。
 本当は、誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。その機会がなかっただけで。
 賢吾に話さなかったのは、きっと同情されたくなかったからだ。いつだって対等でいたかった。
 社畜の同士だからこそ、憐れむ視線を向けられたくなかったように思える。
 ならば蒼士に話したわけは……慰められたかった? 違う。蒼士にだって同情はされたくない。
 “自分”を知って欲しかったから———。

 子供の頃のような、蒼士から見る美澪はちっともカッコいい存在ではない。
 蒼士から守りたいと思ってもらえるような人生でもなかった。
 情けない姿を晒して、愛想を尽かされるかもしれないと思いながらも、蒼士なら美澪を理解してくれるんじゃないかと、頭の片隅で期待してしまったとしか思えない。

 現に全て話して、張り詰めていた糸が切れてしまった。
 ずっと去勢を張っていた力が抜け、今は立ち上がるのさえ困難な状態だ。
 手足が震えている。
 それも蒼士がいつの間にか美澪の手を握り返してくれていたから気が付いた。

「君はずっと寂しかったんだな」
 そう言われ、やっと自覚した。
「私……寂しかったんだ」
 溢れた言葉を汲み取るように、蒼士は抱きしめた。
 温かい……力の抜けた体を、蒼士に預ける。

「俺が、ずっと美澪の側にいる」
 声が出せず、返事ができなかった。
 喋ろうとする程、涙が溢れて喉が詰まる。
 泣きたいのに泣けなかった。
 なのに、今度は泣き止もうとしても涙を止められない。

「このまま、帰せない。俺のマンションに連れて帰るから」
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