13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。
①⑧
「私が……ここに?」
「調理の仕事したいって言ってただろう?」
「そりゃ、言ったけど……」
「俺はまた美澪が作ったご飯が食べたい」
そういえば子供の頃、蒼士の母は帰りが遅く、父親は例の通り不在で、美澪の家に招いてご飯をご馳走していた。そうでもしなければ、蒼士のご飯はスーパーやコンビニのお弁当ばかりになっていたから。
美澪も祖母の手伝いをして料理をしていたが、殆ど祖母が作ったものだ。
なのでコロッケなどの揚げ物を作ってくれることもあったが、やはり煮物や和え物が多かったし、肉よりも魚の方が多かった。
蒼士は食が細いながらもどれも美味しいと言いながら食べていたのを思い出す。
美澪が作っていたのは卵焼きや味噌汁などの簡単なものだったけれど、それでも覚えていてくれたのが嬉しかった。
「美澪の作る甘い目の味のだし巻き卵が好きだった。あれがまた食べたい」
「今の会社に勤めるようになってから、自分の食事さえままならなかったけど覚えてるかな」
「きっと覚えてるよ。他にも、俺が食べたことのない美澪の料理を作ってよ。そんで、わざわざ通わなくていいように、住み込みにすればいい。名案だろう?」
「そうなのかな」
こんな強引な性格だったかと、可笑しくなってしまった。
「ご飯はいいけど、いきなり住み込みはどうだろう」
「問題ないじゃないか。俺と美澪は晴れて恋人になったんだし」
……恋人……。
その響きがくすぐったい。
蒼士は今、美澪の恋人としていてくれている。
「それだって、別に美澪が同棲してくれるって言えば家政婦なんて言い訳がましい役職をつけなくてもいいんだがな」
「話が急すぎて理解が追いつかない」
「俺は特に急とは思わない。美澪を守るには、ここにいてくれるのが一番だって思うから」
それに……と続ける。
「離れている時間が長過ぎて、再会できたこのチャンスを逃したくない。今夜だって帰れない時間になるまで一緒にいれば、美澪がここにいてくれると計算してたし、このまま住んでもらえるように口説くつもりだった。美澪が自嘲するその部屋に、君は帰りたいのか?」
「帰り……たくはないよ。息が詰まりそうなほど狭いし、何もやる気が起こらない部屋だよ」
美澪の本音としても、蒼士ともっと一緒にいたいに決まっている。懐かしさだけで言っているんじゃない。もう恋愛はしないと決めた美澪の決意さえも振り払ってくれたのが蒼士で、嬉しいと同時に感謝もしているのだ。
それに……入院中だって蒼士に惹かれていないわけではなかった。自分の心と葛藤してしまうほどには、海堂蒼士に惹かれていたのだ。
その人から一緒にいて欲しいと言われ、断る方が勇気のいることだと思ってしまう。
流されていいなら……。また、恋していいなら……。それは蒼士とが良い。
「調理の仕事したいって言ってただろう?」
「そりゃ、言ったけど……」
「俺はまた美澪が作ったご飯が食べたい」
そういえば子供の頃、蒼士の母は帰りが遅く、父親は例の通り不在で、美澪の家に招いてご飯をご馳走していた。そうでもしなければ、蒼士のご飯はスーパーやコンビニのお弁当ばかりになっていたから。
美澪も祖母の手伝いをして料理をしていたが、殆ど祖母が作ったものだ。
なのでコロッケなどの揚げ物を作ってくれることもあったが、やはり煮物や和え物が多かったし、肉よりも魚の方が多かった。
蒼士は食が細いながらもどれも美味しいと言いながら食べていたのを思い出す。
美澪が作っていたのは卵焼きや味噌汁などの簡単なものだったけれど、それでも覚えていてくれたのが嬉しかった。
「美澪の作る甘い目の味のだし巻き卵が好きだった。あれがまた食べたい」
「今の会社に勤めるようになってから、自分の食事さえままならなかったけど覚えてるかな」
「きっと覚えてるよ。他にも、俺が食べたことのない美澪の料理を作ってよ。そんで、わざわざ通わなくていいように、住み込みにすればいい。名案だろう?」
「そうなのかな」
こんな強引な性格だったかと、可笑しくなってしまった。
「ご飯はいいけど、いきなり住み込みはどうだろう」
「問題ないじゃないか。俺と美澪は晴れて恋人になったんだし」
……恋人……。
その響きがくすぐったい。
蒼士は今、美澪の恋人としていてくれている。
「それだって、別に美澪が同棲してくれるって言えば家政婦なんて言い訳がましい役職をつけなくてもいいんだがな」
「話が急すぎて理解が追いつかない」
「俺は特に急とは思わない。美澪を守るには、ここにいてくれるのが一番だって思うから」
それに……と続ける。
「離れている時間が長過ぎて、再会できたこのチャンスを逃したくない。今夜だって帰れない時間になるまで一緒にいれば、美澪がここにいてくれると計算してたし、このまま住んでもらえるように口説くつもりだった。美澪が自嘲するその部屋に、君は帰りたいのか?」
「帰り……たくはないよ。息が詰まりそうなほど狭いし、何もやる気が起こらない部屋だよ」
美澪の本音としても、蒼士ともっと一緒にいたいに決まっている。懐かしさだけで言っているんじゃない。もう恋愛はしないと決めた美澪の決意さえも振り払ってくれたのが蒼士で、嬉しいと同時に感謝もしているのだ。
それに……入院中だって蒼士に惹かれていないわけではなかった。自分の心と葛藤してしまうほどには、海堂蒼士に惹かれていたのだ。
その人から一緒にいて欲しいと言われ、断る方が勇気のいることだと思ってしまう。
流されていいなら……。また、恋していいなら……。それは蒼士とが良い。