13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。
①⑨
朝、目が覚めると蒼士の姿がなかった。
仕事は休みだと話していたが、いつも起きる時間が決まっているのか……。
それにしても一緒にいてほしかったなんて少し我儘を考える。
しかし次の瞬間、時計を見ると十時を裕に過ぎていて、「大変!!」と飛び起きた。
「あれ……そうだった。夜に蒼ちゃんが辞めるって言ってくれたんだ」
ベッドの上にへたり込んだ。
本当にもう会社に行かなくていいのか、まだ感覚的には現実味を帯びていない。
寝室を出て、リビングへと移動するも、やはり蒼士はどこかに出かけてしまったらしかった。
置き手紙もなく、スマホを見ても蒼士からのメッセージも着信もなかった。
ソファーに座り、窓の外を見る。
ここは何階だったか、窓際に立たなくては街を見ることは不可能だ。
横になると完全に空しか視界に入らない。
空は高く抜けるように蒼く、雲が形を変えながら流れていくのをぼんやりと眺めていた。
美澪が起きたら会社へ付き添ってくれると蒼士は言っていた。
いつ起きたのかも知らないが。もしかすると仕事の呼び出しがあったのかもしれない。
一人では、会社には行きたくなかったけれど、最悪それも仕方ないと言い聞かせる。
「大人なんだから、しっかりしなさい。美澪」
雲が風に飛ばされて消えた。
美澪は立ち上がると洗面台へと向かう。
鏡と向き合うと、ボサボサの寝癖のついた髪に、半分しか開いていない眸。昨日、泣き過ぎて瞼が晴れている。
蒼士が先にいなくなっていて良かったと、思い直す。
顔を洗っても瞼の腫れは引かないだろうし……保冷剤など、持っているだろうか。
生活感を感じないこの部屋に、現実的な物があるとは想像し難い。
でもこのままでは、外出は無理だと肩を落とす。ショックなようでいて、どこにも行きたくないと思っている自分がいるのも否めない。
このまま蒼士が帰って来なければ、それを理由にずっとここで過ごしてしまいそうだ。そして本当にそれをしてしまっても、蒼士は僅かにも叱らないだろう。
結果的に蒼士は十一時を過ぎて戻ってきた。
両手いっぱいに紙やビニールの袋を下げている。
「おはよう、美澪。良く眠れた?」
「うん……って、それよりもその荷物は一体どうしたの?」
「着替えも何もかもなかったから。取り急ぎ調達してきた。ついでにご飯も。お腹、空いてない?」
袋を軽く上げると美味しそうな香りがふわりと鼻を掠めた。と、同時に小さく腹の虫が鳴く。
「お腹、空いた」
「よし、何よりも先に食べるぞ」
リビングへと大股で歩く蒼士の後ろからついて行く。
一人じゃない日常が訪れたと実感し、ソワソワと落ち着かなかった。
蒼士は美澪の瞼を見て慌てて保冷剤を取り出してくれた。
当たり前に持っているのもだと内心感心しながも、余計なことは言わないでおく。
ひんやりと冷たい感覚が瞼からじんわりと広がり、気持ちが良かった。
蒼士が買ってきてくれたご飯を皿に盛り付けてくれている間、美澪はその生活音を楽しんでいた。
仕事は休みだと話していたが、いつも起きる時間が決まっているのか……。
それにしても一緒にいてほしかったなんて少し我儘を考える。
しかし次の瞬間、時計を見ると十時を裕に過ぎていて、「大変!!」と飛び起きた。
「あれ……そうだった。夜に蒼ちゃんが辞めるって言ってくれたんだ」
ベッドの上にへたり込んだ。
本当にもう会社に行かなくていいのか、まだ感覚的には現実味を帯びていない。
寝室を出て、リビングへと移動するも、やはり蒼士はどこかに出かけてしまったらしかった。
置き手紙もなく、スマホを見ても蒼士からのメッセージも着信もなかった。
ソファーに座り、窓の外を見る。
ここは何階だったか、窓際に立たなくては街を見ることは不可能だ。
横になると完全に空しか視界に入らない。
空は高く抜けるように蒼く、雲が形を変えながら流れていくのをぼんやりと眺めていた。
美澪が起きたら会社へ付き添ってくれると蒼士は言っていた。
いつ起きたのかも知らないが。もしかすると仕事の呼び出しがあったのかもしれない。
一人では、会社には行きたくなかったけれど、最悪それも仕方ないと言い聞かせる。
「大人なんだから、しっかりしなさい。美澪」
雲が風に飛ばされて消えた。
美澪は立ち上がると洗面台へと向かう。
鏡と向き合うと、ボサボサの寝癖のついた髪に、半分しか開いていない眸。昨日、泣き過ぎて瞼が晴れている。
蒼士が先にいなくなっていて良かったと、思い直す。
顔を洗っても瞼の腫れは引かないだろうし……保冷剤など、持っているだろうか。
生活感を感じないこの部屋に、現実的な物があるとは想像し難い。
でもこのままでは、外出は無理だと肩を落とす。ショックなようでいて、どこにも行きたくないと思っている自分がいるのも否めない。
このまま蒼士が帰って来なければ、それを理由にずっとここで過ごしてしまいそうだ。そして本当にそれをしてしまっても、蒼士は僅かにも叱らないだろう。
結果的に蒼士は十一時を過ぎて戻ってきた。
両手いっぱいに紙やビニールの袋を下げている。
「おはよう、美澪。良く眠れた?」
「うん……って、それよりもその荷物は一体どうしたの?」
「着替えも何もかもなかったから。取り急ぎ調達してきた。ついでにご飯も。お腹、空いてない?」
袋を軽く上げると美味しそうな香りがふわりと鼻を掠めた。と、同時に小さく腹の虫が鳴く。
「お腹、空いた」
「よし、何よりも先に食べるぞ」
リビングへと大股で歩く蒼士の後ろからついて行く。
一人じゃない日常が訪れたと実感し、ソワソワと落ち着かなかった。
蒼士は美澪の瞼を見て慌てて保冷剤を取り出してくれた。
当たり前に持っているのもだと内心感心しながも、余計なことは言わないでおく。
ひんやりと冷たい感覚が瞼からじんわりと広がり、気持ちが良かった。
蒼士が買ってきてくれたご飯を皿に盛り付けてくれている間、美澪はその生活音を楽しんでいた。