13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。

②⓪

 食事の片付けを済ませると、いよいよ会社へと向かう。
 蒼士は午前中の間に病院へ行ってドクターストップの診断書を作成してくれていた。
 辞表を書くと蒼士の車で向かう。

 近付く程に胃の痛みが増してくる。無意識に体が反応してしまう。
 ビルの四階に美澪が勤めている会社はある。
 そのエレベーターを降りると、丁度賢吾と鉢合わせをした。

「美澪!! もう、大丈夫なのか?」
「うん、ありがとう。賢吾、今ちょっと時間ある?」
 賢吾は蒼士を横目に見ながら会釈をすると、休憩スペースへと移動する。
 蒼士はいつの間にか上役のアポを取っていたらしく、「少し話をしてくる」と言って、美澪の辞表を預かって行った。

「どう言うことだよ、美澪」
 そういえば、賢吾にはまだ何も話していなかった。
 実は海堂医師が幼馴染で、恋人になって、同棲を始めることになったと手短に説明すると、賢吾は頭を抱えた。
「展開が早過ぎるだろう」
「私もそう思う。でも蒼士からすれば、今まで長過ぎるくらい待ったから……って言って……」
「じゃあ、先生が守りたい人がいるって言ってたの、美澪のことだったんだ?」
「……そう……いうことになるね」

 一緒にいる時に課長から電話がかかってきて、蒼士がカナリ言い込んだことや、このまま辞表を提出して会社を辞めることも全て賢吾に伝える。
 すると、賢吾も昨日早速辞表を提出したのだと言った。
 深夜に美澪に電話をかけてきたのは、賢吾が辞めるからだと判明した。

「余程、むしゃくしゃしてたんだろうな。深夜になっても気が収まらなかったから、美澪に電話したんだろ。本当に、どこまでも腐ってやがる」
 賢吾は「俺のせいでごめんな」と謝ってくれた。
「悪いのは課長だから。でも、今、蒼士が上の人に『医師として』課長の苦情を伝えに行ってるんだ」
「マジ? それは心強いな。海堂総合病院の御曹司様から直接言われたんじゃ、上も放ってはおけないだろ」
「賢吾はいつ辞めるの?」
「半年後……なんて言われたけど、海堂先生が訴えてくれてるんなら、このタイミングで意地でも直ぐに辞めてやる」

 拳に力を込めて賢吾が言う。
「この分だと、課長も降格だろうな」
「好き勝手しすぎたよね。みんなが課長に怯えて言わなかったから、どんどん調子に乗ってたもんね」
 果たして降格で済むのか……電話のやり取りを聞いている限り、課長を解雇するまで言い込むのではないかと思ってしまう。
 でも、そうなればこの会社にとってもメリットだろう。
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