13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。

②④

「こんなサプライズがあるなんて、夢にも思わなかった。私じゃ沙莉を取り戻せなかった。ありがとう、蒼士。本当に、ありがとう」
「俺は美澪を守ると言っただろう。ここで沙莉を捨てるなんて、考えられなかった」

 きっと、蒼士も昔の自分を思い出していただろう。
 家庭内で寂しい思いをしてきたからこそ、沙莉の気持ちにも寄り添ってあげられる。
 
 沙莉は初対面から蒼士に懐いたそうだ。

「ママとね、一緒に暮らそうって言ってくれたんだ」
「そっか。ママ、知らなくて」
「だって、パパと約束したんだ。ママをびっくりさせようって。楽しそうでしょって、だから沙莉もうんって言って、ここの廊下も音を立てないように歩いて来たんだ」
「すごいね。見事に、サプライズ大成功だ!!」
「沙莉、すごいでしょ」
「凄い凄い」

 笑おうとしても涙が止まらない。
 子供は気持ちの切り替えが早い。もう泣き止んで、蒼士とハイタッチしている。

「新しいおうちの探検する? 沙莉の部屋もあるよ」
「本当に? でも、一人になったら寂しい……」
「直ぐに使わなくていい。沙莉が使いたくなった時でいい。ママを驚かせるために、まだ何もそろえていないんだ。今度ベッドや机を見に行こうか。後は、お洋服も。それと、新しい学校も行かないといけない」
「そんなにいっぱい、できないよ」
「大丈夫。ゆっくり少しずつしていこう。楽しみが長く続くようにね」
「うん!」

 蒼士と一緒に沙莉がいる。部屋へと向かう二人の姿を見詰めながら、現実なんだと実感する。

「待って、私も行く」
 立ち上がり、後を追いかける。
 沙莉と手を繋ぐ。最後の記憶よりも成長した握り心地に、歳月の流れを感じずにはいられなかった。
< 56 / 58 >

この作品をシェア

pagetop