13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。

「気分はいかがですか……って! 乙部さん、顔が赤いですよ。体温測りますね」
 綾瀬が急いで体温計を手渡した。
 大丈夫ですと言わないといけないのに、声が出なかった。
 海堂と二人きりの時間があまりに濃厚過ぎた。

 昨日までの素っ気ない態度とは打って変わって、さっきの海堂ときたら恋人のような……いや、それ以上に甘い態度で美澪に迫ってきた。
 肩を寄せられ懐に顔を埋める。その時、意識していなかった『男らしさ』をまじまじと感じてしまい、頭から離れない。

 痩身に見えるが実際には腕もしっかりと筋肉で逞しく、胸板も厚い。美澪よりも高い体温に包まれると、香水なんてつけいないのに、ふわりとジャスミンのような花の香りが鼻を掠めた。

『美澪』一度だけそう呼んだ。確かに名前を呼ばれたのが脳内で何度もリピートされる。
 顔が近かった。海堂の鼻先が触れるかと思うほどに。
 やたら大きく聞こえていた心臓の音はきっと美澪のものだろう。
 海堂は相手が異性だろうが誰だろうが、心を乱したことはなさそうだ。
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