冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
第10話 真実の告白
週末の朝。私は、今日こそ湊にすべてを問うと決心していた。
契約のこと。そして、彼の本当の気持ちを。
朝食の準備をしながら何度も深呼吸を繰り返すが、こわばった指先と早鐘を打つ鼓動までは誤魔化せない。
「おはよう」
湊がリビングに現れた。
「おはようございます」
平静を装いながら、私はコーヒーを淹れる。
「今日は午前中、少し会社に寄ってくる。午後には戻るから」
いつも通り優しい笑みを浮かべる彼に、私は意を決して告げた。
「あの……今夜、お話したいことがあるんです」
一瞬、湊の表情が強張ったように見えた。けれど、彼はすぐに穏やかな顔に戻る。
「……わかった。今夜、ゆっくり話そう」
そう言って、湊は家を出て行った。
◇
一人になると、私は落ち着かない心を鎮めるように掃除を始めた。
リビング、キッチン、自分の部屋。そして――湊の書斎。
普段は入らないようにしているけれど、今日は掃除機をかけるために入った。
「お邪魔します……」
そこは、余計なものは一切ない、整然とした空間が広がっていた。
大きなデスクや本棚が並ぶ中、掃除機をかけていると、本棚の下段に横たえられた古い革張りのアルバムが目に留まった。
アルバム……湊の、昔の写真だろうか。彼は、どんな子どもだったのだろう。
勝手に見てはいけないと、分かっている。だけど、湊のことをもっと知りたい。
その気持ちが、私の手を動かした。
掃除機を止め、吸い寄せられるように手に取った一冊は、革張りの重厚な装丁。
ページを開いた瞬間、世界から音が消えた。
「……え?」