冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
第11話 新たな誓い
三月十三日、金曜日。真実を知り、契約書を破り捨ててから一ヶ月。
私たちは本当の夫婦として、穏やかで幸福な日々を積み重ねていた。
「紗良」
「はい?」
「明日のデート、九時に家を出るから」
今朝、家を出る前に湊からそう告げられた。
照れたように視線を逸らす彼の表情は、窓から差し込む早春の光よりも温かかった。
「わかりました。楽しみにしていますね」
明日はホワイトデー。湊と、両想いになって初めてのデート。
彼は一体、どこに連れて行ってくれるんだろう。
◇
翌朝、三月十四日。興奮からか、六時には目が覚めてしまった。
私はベッドから起き上がり、クローゼットを開ける。
「何を着ていこうかな」
湊に少しでも可愛いと思ってもらいたくて、真剣に悩む。
悩み抜いた末、クリーム色のニットに、桜色のフレアスカートを選んだ。
上品だけど、堅苦しくない。柔らかな陽光に映える、春らしい装い。
髪は軽く巻いてハーフアップに。メイクは、いつもより少しだけ丁寧に。
時計を見ると、八時半。リビングに向かうと、湊はすでに準備を終えていた。