氷の法医学者と、秘密の共犯になりました

第2話

警察署に戻るころには、夕方の光が窓の端で鈍くなっていた。

捜査一課のフロアは、相変わらず落ち着かない音で満ちている。

電話のベル。
キーボードを叩く音。
誰かが低い声で現場の住所を確認している声。

けれど、私の耳には少しだけ遠かった。

監察医務院の白い廊下。
沢渡先生の青ざめた顔。
私の指先に滲んだ、たった一滴の血。

それだけで、あの人の完璧な冷たさが崩れた。

氷の法医学者。

その呼び名の奥に、誰にも見せたくない弱点があった。
私はそれを知ってしまった。
そして、その秘密を使った。

事件を止めるため。
そう言い聞かせても、胸の奥には小さな棘が残っている。
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