麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
9. 危険な思惑
「......!?........リード!」
ふわりとよく知った香りと体温に包み込まれて、モモネリアは後ろを振り返った。
そこには、額に汗を浮かべて息を切らして肩を揺らすリードネストの姿があった。
気がつくとモモネリアは、ひどく安堵した表情を浮かべるリードネストに強く抱きしめられていた。
密着した背中が熱い。
「......ど、どうしたの?」
何か問題でもあったのかと尋ねると、すぐに鋭い視線に射抜かれる。
「......どうした、じゃない。なるべく離れすぎないように言っておいたはずだ。お前の姿が、突然見えなくなって焦ったんだぞ。何度も花畑の中を回って、探したのにどこにも気配さえ感じないし。.......知らない土地で一人になって何かあったらどうする。危険だと、わかっているはずだ」
いつもモモネリアに甘く穏やかなリードネストには珍しく、強い口調で叱られたモモネリアは、萎れた花のようにしゅんとした。
「あ......ご、ごめんなさい」
「.......怪我は....なさそう、だな?」
モモネリアの全身に視線を遣り、怪我の有無を確認してから、つむじにキスを落とす。
「........心配した」
リードネストは、彼女の耳に唇を寄せ本音を漏らした。
耳元でそっと囁く声とほっと息を吐く熱にドキドキしながらも、本気で自分の身を案じてくれる存在がいることに嬉しさを隠せない。
不謹慎だが、こんなことでも愛されている自覚をもってしまう。