麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

2.モモネリアの望むこと



「お父様、お母様!りんごが食べたいわ!私、どうしても、今りんごが食べたい!ね?いいでしょ?」


 姉の甘えたような声が、聞こえる。


「あぁ、可愛いガーネット。りんごが食べたいんだね。すぐに買ってこさせよう」


「そうね、私たちの可愛いガーネットのお願いだもの。すぐ用意しなきゃね」


 両親が愛おしげに、姉を甘やかす言葉が響く。



「あら、でもりんごはなかなか売っていないわ。買いに行かせるのはかわいそうかしら」


「そんなことまで心配してやるなんて、可愛いガーネットは心まで清らかなんだね。いいんだよ、どうせモモネリアなんてそれくらいしかできないんだから」



 父が、意地悪い声でモモネリアの名前を口にする。



「そうよ。可愛いガーネットは、何も気にしなくていいのよ。あんな子、そのために育ててやってるんだから。家族のために、せいぜい働けばいいわ」


 母も、父に同意している。


「....まぁ、そうね。あの子は、私たちとは血が繋がっていないものね。あんな子、そうでもなきゃ、育てるだけ損かもね」


 姉は、その甘えた声で....衝撃的な事実を口にしている。


「そうよ。ふふふ」


 母が笑って、それに続いて父と姉も笑い出す。
 モモネリアが、ドアの外で聞いているとも知らず、リビングではそんな会話がなされていた。


 モモネリアは、目の前が真っ暗になった。



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