麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

10. 夢うつつ


 ローネルとわかれ少し部屋で休んでから、夕食をとりそれぞれ湯浴みをした。



 浴室から部屋に戻ると、リードネストは先に宿の露天風呂で湯浴みを終えてベッドに腰掛けていた。




 普段、リードネストの邸では隣同士の部屋だが、旅先では、いつも以上に目の届かないところにモモネリアがいることが嫌らしく、ずっと同室になっている。


 何かあればすぐ助けられるから、と。




 この宿は、地下から湧き出る源泉を引いてきて、美しい庭園の景色を眺めながら湯浴みできる露天風呂をかまえていて、女性客やカップルから大変人気らしい。




 モモネリアは疲れを感じたため、今日のところは露天風呂には行かず、部屋の備え付けのお風呂で湯浴みすることにした。



 湯上がりで、まだモモネリアの艶やかな髪の毛が湿っており、毛先から滴が垂れている。





「おいで」




 リードネストは、呼ばれるまま隣に腰掛けたモモネリアの後ろにまわり、髪の毛を丁寧に拭いてくれた。




 ふわふわと優しい手つきがとても気持ちよくて、モモネリアは目を瞑り、されるがまま任せることにした。





 拭き終えると、リードネストはベッドの上にあぐらをかいて座り、モモネリアを横抱きに自分の上に座らせた。



 
 モモネリアは、がっしりとした腕に身体を預け、リードネストを見上げる。





 唇をそっと重ねて、何度も角度を変え口付けられる。




 彼の体温が、湯から上がり時間が経って少し冷えてきたモモネリアの唇をあたためた。




 唇が離れ、ぎゅっと抱きしめられる。




 そして、ついさっき拭いてくれたモモネリアの髪の毛に再び彼の指が絡み、ゆっくりと梳いていく。




 シルクの寝衣を着たモモネリアの膝に、ふさふさの柔らかな毛並みの尻尾がふわりと乗せられ、まるで上質な毛皮の布団のようだ。

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