麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
12.ローネルの前世
「カレンー!」
「ロイド!」
緑豊かな小さな村で、幼馴染として育ったドワーフの二人がいた。
女の子はカレン。
愛らしく大きな目、淡いグリーンの瞳、肩のあたりで切り揃えられた桃色の髪の毛はふわふわ波打っている。
いつもニコニコ笑顔で、前向きな明るい彼女は皆に可愛がられていた。
カレンの家の隣に、3つ上で年も近く、子供の頃からずっと一緒に育ってきたロイドという男の子がいた。
彼は本当の妹のようにカレンの面倒をみて、遊ぶときも常に一緒だった。
二人が成人し、一人前のドワーフとして働き始めてからも変わらず、いつも隣にお互いのぬくもりがあった。
自然と、二人は将来を誓い合う仲になり、もうすぐ村総出で結婚を祝う儀式をして、夫婦となることに決まっていた。
「やっぱりここにいた」
祭壇の近くに、うっすら蝋燭の灯りがともされている。
壁一面のステンドグラスから陽の光がさして、教会内はふんわり明るい。
祭壇近くの長椅子に腰掛けたカレンを見つけ、ロイドは小走りで近寄った。
当然のように彼女の隣に座り、少し冷えた小さな左手を彼のあたたかな右手が包む。