麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

13.だから君を


 それから、二人は死が別つときまで寄り添い続けた。



 寿命の長いドワーフにしては、確かにカレンの一生は短かった。


 でも、最期の瞬間彼女は笑っていた。


 愛する人の腕の中で。


 確かに幸せを感じて。



 彼女が去ってからも、ロイドは懸命に生きた。



 時には、どうしようもなく寂しくて、押し潰されそうな夜もあった。



 でも、その度にあの日二人で食べた桃を思い出して、笑顔で生きた。



 来世でまた出会えたとき、残りの人生をどう生きたのか自信を持って彼女に話せるようにーーー。






********




「....ねぇ、モモネリア。......いや、カレン。.....これでも思い出さない?」




 泣き笑いの表情で、ローネルは尋ねた。




「......覚えて、ないわ」




「.....そっ、か....。ふふ、君らしいや。君は、おっちょこちょいだから」




「.........」




「いいよ、覚えてなくても。その分、僕が覚えていよう」




 覚えていないモモネリア、いや、『カレン』を責めるでもなく。



 心の底から愛する者に向ける、優しげに細められた目。



 それをモモネリアは、ただ呆然と見つめる。




 覚えていない。


 でもーーー。



 確かに、ローネルに出会ってから不思議な感覚に陥ることはあった。

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