初恋の人がいきなり上司で、訳あり同居生活

雄平の弱さ

「ただいま」

高層マンションの最上階にある重厚な玄関ドアを開けて、塔子が声をかける。
しかし、明かりだけがついた誰もいない空間から返事が返ってくることはない。

「塔子、疲れたんじゃないか?」
「いいえ、平気よ」

後ろから入ってきた雄平が心配そうに見るが、不思議と塔子の方に疲労感はない。
今の時刻は夜10時半。
普段よりも遅くなってしまった帰宅だが、そこにはそれなりの訳がある。
実は今日、塔子たちは雄平の父と共に食事をしていた。
場所は東京・銀座、都会の真っ只中にある老舗フレンチの名店。
普段の塔子なら絶対に行くこともない格式高いレストランで、雄平の父と向かい合った。
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