御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
08 新婚旅行と契約違反
「新婚旅行……ですか?」

 ある日の夕食時。彼のひと言で、ダイニングテーブルに皿を並べる手が止まる。
 既に椅子に座っている彼は、こくりと頷いた。

「両親から勝手に手配されてな……。最初は取引先からペアチケットをもらったらしい。それが、あれやこれやとプランをグレードアップされてしまって、来週末に軽井沢までどうかと……」

 彼がスマホを操作し、宿泊予定の場所だというホテルを見せてくれる。
 ホテルというよりは、もはやひとつの家で、私は目を丸くした。

「これ、本当にホテル……なんですか?」
「一応。各ゲストにつき一部屋ならぬ一戸だな」
「はぁ……」

 驚きすぎてもはや感想もない。
 ひとつの家を丸々借りて、二人で泊まることができるらしい。
部屋には露天風呂つきで、軽食や飲み物まで自由に楽しめるどこらか、食事もスタッフが運び入れてくれるとは至れり尽くせりだ。
 おまけに一戸ごとに離れて立地しているため、他の宿泊客と鉢合わせることもないそう。
 普通に働いていたらなかなか泊まれそうにないところを、今回蓮さんのご両親が新婚旅行にプレゼントしてくれるのだという。

 申し訳ない気持ち半分、嬉しい気持ち半分で、反応に困った。

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