御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
10 エピローグ
 広いリビングに温かな日差しが降り注ぐ。

 ソファーには彼がゆったりと足を組み、コーヒーを楽しんでいた。

 穏やかな午後だ。
 今日は快晴で、窓から見える景色も美しい。

 私は彼の隣で丸まって眠る我が子の頭を撫でた。

「ふふ、疲れて眠っちゃったのかな」
「そうみたいだな」

 彼が声をひそめて隣で眠る娘、菜摘(なつみ)の頭を撫でる。
 彼は娘の体をそっと抱き上げると、ソファーの、足が伸ばせる場所に菜摘を寝かせた。
 その上に彼がブランケットを掛ければ、菜摘が気持ちよさそうにふにゃふにゃと笑って丸くなる。
 その様子を眺めて、あまりの穏やかさに思わず笑みが溢れた。

「……さて、俺も少し眠ろうかな」

 そう言って、彼が私の横にぴったりとくっついて座る。
 肩に頭を預けて目を閉じる彼が、愛おしくて仕方がなかった。

「いいですよ。少ししたら起こしますから」

 自然と彼の頭に手が伸びて、存外柔らかな髪を指先にくるくると巻きつける。
 彼は顔を起こすと、千尋も、と言って、私の体を抱き込んだ。

「でも、まだお掃除が……」
「そんなのは、俺があとでやる」
「もう……」

 彼が私の髪に唇を寄せる。そうしてぎゅっと体を抱き込まれた。

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