転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
プロローグ
「お腹空いたな……」

 ユリアは、庭に生えている花をむしった。
 この花は甘い蜜(みつ)をたっぷりと蓄えている。蜜を吸って水をたくさん飲んだら、夕食までの間の空腹を紛らわせられるだろう。
 兄のアーゲルがおやつを持ってきてくれればいいけれど、どうだろうか。
 赤い花、白い花、黄色の花。三つ摘んだら、井戸のところに行く。

「よいしょ、よいしょ」

 水がたっぷり入った桶を持ち上げるのは、四歳児にはなかなか難儀なこと。

「ふぅ」

 なんとか桶を持ち上げて、ひとつ、息をつく。
 そして、最初に赤い花を取り上げた。汲み上げた水ですすいでからちゅぅっと下の部分に吸いつく。甘い甘い蜜に口内を満たされて、思わず零(こぼ)れるのは、幸せの微笑み。
 この花が咲いている季節はこうして空腹を紛らわせるが、花の時期が終わったらどうしよう。去年とおととしはどうしていたのだったか、記憶がない。
 桶を覗き込むと、水面に顔が写る。大きな青い目に肩のところで揃(そろ)えた金色の髪。

(……変なの)

 どうしてだろう。この顔、自分の顔ではないみたいだ。
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