塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました

嫉妬

「い……っ!」

 首筋に噛みつかれ、鋭い痛みに思わず身体が震える。血は出ていないだろうがヒリヒリと痛む肌を、今度はレナルドが舌先でなぞるように舐めた。その柔らかな感触と熱い吐息に、腰のあたりがずくりと疼いた。

「まだ足りないな。もっとだ」

 唸るようにつぶやきながら、再びレナルドがラシェルの首筋に顔を埋める。また噛みつかれるのかと身構えたが、今度は肌を吸われただけだった。それでも、ちくりとした痛みを何度も与えられる。

 このまま彼に抱かれる流れであることは分かったが、レナルドが何故こんなにも激しい執着心を見せるのかが分からない。初夜とも、二度目の夜とも違う彼の様子に、ラシェルは戸惑う一方だ。彼のキスを拒んだことが、何かのスイッチを押してしまったような気がする。

「……っ、レナルド様、待ってくださ……」

「俺のものだという印をつけられるのが、嫌なのか」

「違……っ」

 否定しようとした言葉も、再び塞がれた唇によって消えてしまう。まるで食べられてしまいそうな激しいキスを必死に受け入れていると、ドレスの胸元からレナルドの手が侵入してきた。思わず逃げるように身体をよじると、レナルドの目が更に暗くなる。

「俺から逃げるのか、ラシェル」

「ちが、違う……っ」

「きみは、俺のものだ。誰にも渡さない。嫌だと言っても、絶対に逃がしてやらない」
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