塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
一方的な想い(レナルド視点)
あれから数年が経ち、レナルドは侯爵家を継いでいた。父親は昔から身体の弱い人で、肺を悪くして寝込むことが増えたため、空気のいい場所で療養することになったのだ。成人した頃から執務の大半はレナルドが引き受けていたので、さほど問題なかった。
両親は一人息子であるレナルドがまだ結婚していないことを心配していたが、たとえ家のためであろうと好きでもない女性と結婚するつもりはなかった。レナルドがそばにいてほしいと望むのは、ただ一人だけだから。
侯爵としての執務と騎士としての仕事の両立は大変だったが、忙しくしていれば叶わぬ恋に胸を苦しめる時間が減る。いつかラシェルが結婚したことを知ったら、その時にはすっぱりと諦められるのだろうか。
そんなある日、レナルドの耳に衝撃の事実が飛び込んできた。
ブラン男爵家が巨額の借金を抱え、没落寸前である――。
もともとブラン男爵家は、貴族の中でも慎ましい生活を送っている印象だった。男爵は穏やかな人柄で知られるし、領民からも慕われていると聞く。社交をするよりも領民の話を聞く方が大切だからとめったに夜会には顔を出さず、それ故にブラン男爵家は政治的な力を全く持っていない。
そんな男爵家がどうして借金を抱えることになったのかと不思議だったが、昨年夫人を病気で亡くし、その治療費の返済が滞っているのだという。
とはいえ、夫人が他界したのは一年前。今頃になって借金の返済に困っていることが話題になるのも少し不思議だ。
微かな違和感を抱きつつも、レナルドの頭の中は別のことで占められていた。
借金を肩代わりすることを条件にラシェルとの結婚を申し出れば、彼女が手に入るのではないか――。
両親は一人息子であるレナルドがまだ結婚していないことを心配していたが、たとえ家のためであろうと好きでもない女性と結婚するつもりはなかった。レナルドがそばにいてほしいと望むのは、ただ一人だけだから。
侯爵としての執務と騎士としての仕事の両立は大変だったが、忙しくしていれば叶わぬ恋に胸を苦しめる時間が減る。いつかラシェルが結婚したことを知ったら、その時にはすっぱりと諦められるのだろうか。
そんなある日、レナルドの耳に衝撃の事実が飛び込んできた。
ブラン男爵家が巨額の借金を抱え、没落寸前である――。
もともとブラン男爵家は、貴族の中でも慎ましい生活を送っている印象だった。男爵は穏やかな人柄で知られるし、領民からも慕われていると聞く。社交をするよりも領民の話を聞く方が大切だからとめったに夜会には顔を出さず、それ故にブラン男爵家は政治的な力を全く持っていない。
そんな男爵家がどうして借金を抱えることになったのかと不思議だったが、昨年夫人を病気で亡くし、その治療費の返済が滞っているのだという。
とはいえ、夫人が他界したのは一年前。今頃になって借金の返済に困っていることが話題になるのも少し不思議だ。
微かな違和感を抱きつつも、レナルドの頭の中は別のことで占められていた。
借金を肩代わりすることを条件にラシェルとの結婚を申し出れば、彼女が手に入るのではないか――。