塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
それからの日々
ヴァンタール侯爵の結婚は、政略的意味合いが強いものだと社交界では思われていた。だがレナルドが妻への愛を人目をはばからず語ったことで、実は仲睦まじい夫婦なのだという事実が浸透しつつある。レナルドの大ファンを自称していた公爵令嬢が「奥様にべた惚れだった」とあちこちのお茶会で触れ回ったことも、その理由の一つかもしれない。
この結婚が最初から愛しあってのものではなかったこと、だけど密かにお互いを愛していたことを知っているのは、ラシェルとレナルドの二人だけ。
とても遠回りをしてしまったが、ずっと好きだった人と共に生きていくことができるのは、これ以上ないほどの幸せだとラシェルは思っている。
投獄されたセヴランは、父親であるノディエ伯爵に勘当を言い渡され、平民となった。取り調べで明らかになった罪だけでも両手では足りないほどで、一生を監獄の中で過ごすことになるだろうと言われていた。
だが、レナルドがそれに異議を唱えた。牢の中で無駄に一生を過ごさせるくらいなら、労働をさせた方がよっぽど人の役に立つと、ヴァンタール家が手がけている治水事業へ従事させることにしたのだ。平民の労働者に交じっての肉体労働は、身分をかさに着て威張り散らし、ろくに働いたことのないセヴランにとっては収監されるよりも辛い罰になるだろう。もちろん、逃げだしたり仕事に手を抜いたりすることのないように、セヴランには厳重な監視がつく。
ラシェルを襲った罪は死罪にも値するとレナルドは息まいていたが、さすがにそれはレナルドの力をもってしても難しかったようだ。しばらく不満そうにしていたが、一気に命を絶つよりもじわじわと苦しめる方がいいだろうと怖い顔をして笑っていた。
この結婚が最初から愛しあってのものではなかったこと、だけど密かにお互いを愛していたことを知っているのは、ラシェルとレナルドの二人だけ。
とても遠回りをしてしまったが、ずっと好きだった人と共に生きていくことができるのは、これ以上ないほどの幸せだとラシェルは思っている。
投獄されたセヴランは、父親であるノディエ伯爵に勘当を言い渡され、平民となった。取り調べで明らかになった罪だけでも両手では足りないほどで、一生を監獄の中で過ごすことになるだろうと言われていた。
だが、レナルドがそれに異議を唱えた。牢の中で無駄に一生を過ごさせるくらいなら、労働をさせた方がよっぽど人の役に立つと、ヴァンタール家が手がけている治水事業へ従事させることにしたのだ。平民の労働者に交じっての肉体労働は、身分をかさに着て威張り散らし、ろくに働いたことのないセヴランにとっては収監されるよりも辛い罰になるだろう。もちろん、逃げだしたり仕事に手を抜いたりすることのないように、セヴランには厳重な監視がつく。
ラシェルを襲った罪は死罪にも値するとレナルドは息まいていたが、さすがにそれはレナルドの力をもってしても難しかったようだ。しばらく不満そうにしていたが、一気に命を絶つよりもじわじわと苦しめる方がいいだろうと怖い顔をして笑っていた。