塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました

初夜にて

 そして夜、ラシェルは夫婦の寝室でレナルドを待っていた。

『形だけの結婚』だと言われているし、たとえ初夜だとしても一緒に眠る必要はないと思っていたのだが、コレットが連れてきた数人の侍女の手によってラシェルは全身磨き上げられ、いかにも初夜っぽい薄い下着を着せられて寝室へと送り出された。

 レナルドは見た目も地位も申し分なく、好意を寄せる女性はたくさんいる。彼とラシェルが結婚したことが広まったところで、諦めない女性もいるだろう。もしもこの結婚が形だけのものだと知られてしまえば、自分こそがレナルドの妻に相応しいと考える令嬢や、愛人でもいいと希望する女性が殺到するかもしれない。

 そのためには、ラシェルとレナルドが仲睦まじい夫婦であると周知すべきである。そうコレットに言われたラシェルは、レナルドに愛されていると印象づけるために、初夜は一緒に過ごすことが大事だろうと考えをあらためた。

 それにレナルドは、侯爵だ。今のところ必要ないとは言われたが、いずれは跡継ぎが求められることに間違いはない。それなら、今日抱かれたって同じことだろうと思ったのだ。
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