塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました

庭での初デート

 レナルドが提案したとおり、日中は庭で過ごすことになった。

 広い庭の一角には薔薇を集めた花壇があり、そのそばに四阿があるのだそうだ。

 一度部屋に戻って軽く身支度を整えたあと、庭に向かう予定だ。

「髪に結ぶのは、薔薇の色に合わせてピンクのリボンにいたしましょう。アクセサリーも、薔薇をモチーフにしたものがいいかしら」

 鏡台の前で、コレットがあれこれと髪飾りやアクセサリーを広げていく。それを見て、ラシェルは思わず苦笑した。

「ねぇ、コレット。庭に出るだけなのよ。そんなに着飾らなくてもいいと思うわ」

「いいえ、これはラシェル様とレナルド様の初デートなのですから! ここで気合いを入れなくてどうするんですか!」

「デート……なのかしら」

 首をかしげつつも、確かにちゃんと二人で過ごすのは初めてだ。結婚前はろくに話したことがなかったし、ここに越してきてからもレナルドと二人きりで過ごすのは眠る時だけだった。

 そんなことを考えているうちに、コレットはラシェルの髪を綺麗に結い、アクセサリーもつけてくれた。

 鏡の中のラシェルは、いかにもよそいきといった装いだ。ミルクティーベージュの髪をサイドだけ編み込んでハーフアップにして、ローズピンクのリボンを飾っている。

 リボンと同じ色をしたドレスは、花柄模様のレースをふんだんに使ったスカートと、ふんわり広がるパフスリーブが愛らしいデザインのものだ。以前にレナルドが仕立ててくれたドレスのうちの一着で、人気のドレスショップの新作だという。

 お茶会の場所に合わせて、イヤリングとネックレスは薔薇モチーフのものを選び、ローズゴールドの柔らかな色合いがラシェルの肌によく馴染んでいる。
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