元恋人と、今日から同僚です

最終話 更新(アップデート)

 朝倉と再会してから、三ヶ月。
 付き合い始めてから、二ヶ月が経った。

 季節は、夏になっていた。
 最悪の再会だったあの日から、あっという間に時間が過ぎていた。

 私のプロジェクトは、無事にローンチを迎えた。
 ウェブメディア『CLASSY LIFE WEB』。紙の雑誌と連動した、新しいメディア。
 立ち上げ初月から、予想以上のアクセスを集めている。

 藤堂さんにも、チームのメンバーにも、褒められた。
 リーダーとして、なんとかやり遂げられた。

 朝倉も、編集の仕事に慣れてきていた。
 最初は手探りだった彼が、今では一人で案件を回せるようになっている。
 成長が早い。負けていられない。

 仕事も、恋愛も、うまくいっている。
 五年前には想像もできなかった日々だ。





 ある日の夜。

 仕事終わりに、朝倉と一緒に屋上に行った。
 私が朝倉を避けるために、行かなくなった場所。
 今は、二人のお気に入りの場所になっている。

「暑いなあ」
「うん。夏だからね」

 ベンチに並んで座る。
 夜風が、少しだけ涼しい。

「ここに来ると、最初の頃を思い出すな」
「最初の頃?」
「真帆が俺を避けてた頃。屋上に来たら、俺がいて、気まずそうにしてた」

 懐かしい。
 あの頃の私は、朝倉と顔を合わせるのが怖くて仕方がなかった。

「今は違う。真帆が隣にいる」
「うん。今は、一緒にいたい」
「俺も」

 朝倉が、私の手を握った。
 その温かさが、心地いい。

「ねえ、朝倉」
「何」
「私たち、やり直せたのかな」

 ふと、そう聞いた。

「やり直す?」
「うん。五年前に別れて、また付き合い始めて。これって、やり直しなのかなって」
「別れも?」

 私はこの一言で、カチンときた。

「なんで、そういうこというの?また別れたいの?」

 まただ。私はすぐこうなる。別れたいわけないのに。
 
「そうじゃないだろ?」
「もういい。わかった。帰る」
「わかってない。待てって」

 私は朝倉の手を振り払って立ち上がり、足早に階段へ向かった。
 腹が立った。でも涙が溢れる。

 ——やっちゃった。五年前と同じだ。

 たぶん、朝倉を怒らせた。また終わる。
 階段はもうすぐだ。そこで終わり。

 もう嫌だ。なんで私はいつも……
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