元恋人と、今日から同僚です
第16話 仕事と感情のはざまで
朝倉と話し合ってから、数日が経った。
私たちの関係は、少しずつ変わってきている。
仕事中、目が合うと、お互いに笑うようになった。
昼休み、一緒に食事をすることも増えた。
話す内容も、仕事の話だけじゃなくなった。
趣味のこと、週末の予定、昔の思い出話。
周囲から見たら、普通に仲のいい同僚に見えるだろう。
でも、私の中では、もっと複雑な感情が渦巻いていた。
好きだと伝えた。朝倉も、好きだと言ってくれた。
それなのに、踏み切れない。
◇
水曜日。
次の号の企画会議があった。
今回、私は新しい特集の企画を提案する予定だった。
美容特集に続く、新しい挑戦。
ファッションとライフスタイルを組み合わせた、大人の女性向けの企画。
「じゃあ、結城さんから」
藤堂さんに促されて、企画書を配る。
「三十代女性のための『スマートカジュアル特集』です。
オフィスでもプライベートでも着回せる、シンプルで上質なアイテムを——」
説明を始めた途端、頭が真っ白になった。
朝倉の視線を感じる。彼が、私を見ている。
それだけで、集中が途切れた。
「——を、提案します」
なんとか説明を終えたけど、自分でも何を言ったかよく覚えていない。
しどろもどろだった。
「結城さん、大丈夫?」
藤堂さんが、心配そうに聞いてきた。
「はい、すみません。ちょっと体調が」
「無理しないでね。今日は早めに帰っていいよ」
恥ずかしかった。
会議中に集中できないなんて……
会議が終わって、席に戻る。
朝倉が、さりげなく近づいてきた。
「大丈夫ですか?」
「……うん」
「顔色、悪いですよ?」
「うん。大丈夫だから」
突き放すように言ってしまった。
朝倉が、少し傷ついた顔をした。
「……ごめんなさい。余計なことを」
「違う、私が——」
言いかけて、止めた。
周囲の目がある。ここで話すのは、まずい。
「後で、話すね」
「……わかりました」
朝倉が、自分の席に戻っていく。
何をやっているんだろう、私は。
自分が集中できないことを。それを朝倉に当たって。
「最悪……」
誰にも聞こえない声で、呟いた。
私たちの関係は、少しずつ変わってきている。
仕事中、目が合うと、お互いに笑うようになった。
昼休み、一緒に食事をすることも増えた。
話す内容も、仕事の話だけじゃなくなった。
趣味のこと、週末の予定、昔の思い出話。
周囲から見たら、普通に仲のいい同僚に見えるだろう。
でも、私の中では、もっと複雑な感情が渦巻いていた。
好きだと伝えた。朝倉も、好きだと言ってくれた。
それなのに、踏み切れない。
◇
水曜日。
次の号の企画会議があった。
今回、私は新しい特集の企画を提案する予定だった。
美容特集に続く、新しい挑戦。
ファッションとライフスタイルを組み合わせた、大人の女性向けの企画。
「じゃあ、結城さんから」
藤堂さんに促されて、企画書を配る。
「三十代女性のための『スマートカジュアル特集』です。
オフィスでもプライベートでも着回せる、シンプルで上質なアイテムを——」
説明を始めた途端、頭が真っ白になった。
朝倉の視線を感じる。彼が、私を見ている。
それだけで、集中が途切れた。
「——を、提案します」
なんとか説明を終えたけど、自分でも何を言ったかよく覚えていない。
しどろもどろだった。
「結城さん、大丈夫?」
藤堂さんが、心配そうに聞いてきた。
「はい、すみません。ちょっと体調が」
「無理しないでね。今日は早めに帰っていいよ」
恥ずかしかった。
会議中に集中できないなんて……
会議が終わって、席に戻る。
朝倉が、さりげなく近づいてきた。
「大丈夫ですか?」
「……うん」
「顔色、悪いですよ?」
「うん。大丈夫だから」
突き放すように言ってしまった。
朝倉が、少し傷ついた顔をした。
「……ごめんなさい。余計なことを」
「違う、私が——」
言いかけて、止めた。
周囲の目がある。ここで話すのは、まずい。
「後で、話すね」
「……わかりました」
朝倉が、自分の席に戻っていく。
何をやっているんだろう、私は。
自分が集中できないことを。それを朝倉に当たって。
「最悪……」
誰にも聞こえない声で、呟いた。