元恋人と、今日から同僚です

第18話 尊重するということ

 月曜日。
 朝から、緊張していた。

 昨日の電話で、朝倉は「話したいことがある」と言っていた。
 何を話すんだろう。告白? でも、もうお互いの気持ちは確認済みだ。

 それとも——

 考えても仕方がない。会えばわかる。
 そう思って、出社した。

 朝倉は、いつも通りの顔で「おはようございます」と言った。
 特別なことは、何もない。普通の月曜日の朝。

 でも、私の心臓は普通じゃなかった。
 一日中、緊張しっぱなしだった。





 定時後、朝倉に誘われて、会社近くの公園に行った。
 いつもの場所。夕暮れ時のベンチ。

「改めて話したいこと、ってのは」

 朝倉が、真剣な顔で言った。

「昨日の電話で、真帆は言ってくれた。仕事も、俺のことも、両方大事にするって」
「うん」
「それ、すごく嬉しかった。俺のことを、ちゃんと考えてくれてるんだって」

 朝倉が、少し照れくさそうに笑った。

「だから、俺からも伝えたいことがあって」
「……何」
「真帆が、どんな選択をしても、俺は尊重する」

 予想外の言葉だった。

「尊重?」
「うん。仕事を優先したいなら、それでいい。
 俺との時間を減らしたいなら、それでもいい。
 真帆が選んだことを、俺は受け入れます」

「……」
「もちろん、両方大事にしてくれるのが一番嬉しい。でも、無理してほしくない」

 朝倉の目が、真っ直ぐに私を見ていた。
< 92 / 112 >

この作品をシェア

pagetop