口煩いと婚約破棄されまして~今更助けてくれ?見返りに貴方のお兄様を紹介しなさい~
episode.13
あの後、ヴィクトル団長も答えが出ず「申し訳ない」と謝罪されたが、謝罪しなければならないのは私の方。転生者という事実を黙っているのだから、答えを見つけようにも見つかるはずがない。
「少し時間をくれ。知り合いの魔術師に話をして助言をもらってくる」
「あ、そこまでしなくて大丈夫です!害はなさそうなんで、このままでいいです!」
魔術師になんて話をしたら、興味を持たれて被検体にされた挙句に一生檻の中確定してしまう。ヴィクトル団長の知り合いだからと言って安心は出来ない。
むしろ、信頼している人から紹介された人の方が厄介な場合が多い。
その場は何とか納得してもらえたが……
「今頃その魔術師のとこだろ」
「やっぱり?」
アーネストの元を訪れて、先日の出来事を聞かせたら私と同じ反応をして見せた。
「兄上は一度自分の懐に入った者には過保護だからな。お前が何を言おうと兄上にしたら心配なんだろう」
「お前ばかり気にかけてもらって狡い」という不満げな顔を隠すことなく見せつけてくるが、それは私のせいではない。己の行いのせいなので自業自得。
「でもなぁ、まさかお前にそんな力があったなんてなぁ。てっきり口煩いだけかと思ってたぞ」
「私自身も衝撃の事実なんでなんとも言えません」
嘲笑いながら煽る様な口ぶりで言ってくるが、冷静に言い返してやった。自分ばかり兄であるヴィクトル団長に構ってもらえない不満や不安を私にぶつけるのはお門違い。
言い返されたアーネストは悔し紛れに言い返そうと口を開けてはみたものの、言葉が見つからなかったと見えてパクパクさせたまま黙ってしまった。
(私に勝とうなんて十年早いわ)
大人気ないとは思うが、コイツの場合、上下関係をはっきりさせる為にも言い負かせるのが一番いい。言うなれば、犬の調教と同じ様なもの。
「さて、話すことは話して満足したんで帰ります」
「あ、そうだ。……いや、まあ、いいや。とっとと帰れ帰れ」
何か言いかけたが、言ったところでまた言い負かされるとでも思ったのか、頭を掻きながら手を振り帰宅を促してくる。
「言われなくても帰りますよ」
こちらも手を振り返し部屋を後にした。
***
その足で向かったのは騎士団宿舎。その理由は、ただ一つ。
「オレオちゃ~~ん!」
癒しを求めて魔獣……もとい、オレオに会いにやって来た。名付け親は当然私。由来は現世にあった某お菓子。大人の事情で詳しくは言えないが、そのお菓子がこの子の毛色にそっくりなので『オレオ』と命名した。
『お姉ちゃん!』
こっちの世界でも前世でも一人子だった私には、お姉ちゃん呼びはとても新鮮で鼻血が出るほど歓喜深い。それが例え、魔獣だろうと人間だろうと関係ない。
「また来たの?」
「その声は……」
眉を顰め、声のした方へ顔を向ける私の耳に『カイエン!』と尻尾を振りながらいつぞやのように飛び掛かるオレオの姿が目に入った。
何故かオレオが一番懐いているのはカイエンなのだ。当のカイエンも相も変わらず文句を口にしながらオレオを引き剝がそうと必死になっている。
「あ~ぁ、もういいよ。ほら、好きにしろよ」
引いて駄目なら押してみろ作戦で、地面に大の字で寝転がったカイエン。いい加減面倒になって、ヤケになっているようにも見える。
オレオは急に無防備に寝転がったカイエンに戸惑った様子を見せたが、それも一瞬だけ。ようやく自分を受け入れてくれたと思っているようで、目を輝かせて必要以上に舐め回している。
「あははははは!!」
こんなの笑わずにいられない。腹を抱えて笑っていると、刺すような鋭い視線を感じた。
視線の出処は言わずもがなカイエン。早く助けろと言わんばかりに殺気を放ってる。
(ヤバ…)
触らぬ神に祟りなし。という事で、素早くオレオを回収。
『えぇ、もうちょっと遊びたかった』
「うん。私の命が危ぶまれるから今日はここまでね?代わりにこれあげるから」
私は持ってきた籠から乾燥した肉を取り出した。
牛肉を乾燥させてジャーキーにした保存食。当然、人間も食べられる。
『うわぁ~……!』
オレオはその肉を口に咥えると、自分のお気に入りの場所へ持って行ってしまった。
「まったく、現金なヤツだよねぇ」
「仕方ないですよ。食欲に勝るものはありませんからね」
親になったような気持ちでオレオを見つめていると、ヴィクトル団長が見当たらない事に気が付いた。
「あれ?団長様は?」
いつもなら私が来れば一度は顔を見せてくれるのに、今日はまだない。
(忙しいのかな?)
団長が小娘相手に毎度顔を出す時点でおかしな話だが、姿を見ないと見ないで心配になる。
「あれ?シェンナちゃん聞いてないの?」
「何を?」
「団長、今頃お見合いしてるよぉ」
「……ん?」
あまりにも自然に言われたので一度では理解が出来ない。
「ワンモアプリーズ」
「だ~か~ら~、団長、今日、見合い」
強調するように単語単語で言われた。
「…………………はぁぁぁぁ!?!!!??!」
「少し時間をくれ。知り合いの魔術師に話をして助言をもらってくる」
「あ、そこまでしなくて大丈夫です!害はなさそうなんで、このままでいいです!」
魔術師になんて話をしたら、興味を持たれて被検体にされた挙句に一生檻の中確定してしまう。ヴィクトル団長の知り合いだからと言って安心は出来ない。
むしろ、信頼している人から紹介された人の方が厄介な場合が多い。
その場は何とか納得してもらえたが……
「今頃その魔術師のとこだろ」
「やっぱり?」
アーネストの元を訪れて、先日の出来事を聞かせたら私と同じ反応をして見せた。
「兄上は一度自分の懐に入った者には過保護だからな。お前が何を言おうと兄上にしたら心配なんだろう」
「お前ばかり気にかけてもらって狡い」という不満げな顔を隠すことなく見せつけてくるが、それは私のせいではない。己の行いのせいなので自業自得。
「でもなぁ、まさかお前にそんな力があったなんてなぁ。てっきり口煩いだけかと思ってたぞ」
「私自身も衝撃の事実なんでなんとも言えません」
嘲笑いながら煽る様な口ぶりで言ってくるが、冷静に言い返してやった。自分ばかり兄であるヴィクトル団長に構ってもらえない不満や不安を私にぶつけるのはお門違い。
言い返されたアーネストは悔し紛れに言い返そうと口を開けてはみたものの、言葉が見つからなかったと見えてパクパクさせたまま黙ってしまった。
(私に勝とうなんて十年早いわ)
大人気ないとは思うが、コイツの場合、上下関係をはっきりさせる為にも言い負かせるのが一番いい。言うなれば、犬の調教と同じ様なもの。
「さて、話すことは話して満足したんで帰ります」
「あ、そうだ。……いや、まあ、いいや。とっとと帰れ帰れ」
何か言いかけたが、言ったところでまた言い負かされるとでも思ったのか、頭を掻きながら手を振り帰宅を促してくる。
「言われなくても帰りますよ」
こちらも手を振り返し部屋を後にした。
***
その足で向かったのは騎士団宿舎。その理由は、ただ一つ。
「オレオちゃ~~ん!」
癒しを求めて魔獣……もとい、オレオに会いにやって来た。名付け親は当然私。由来は現世にあった某お菓子。大人の事情で詳しくは言えないが、そのお菓子がこの子の毛色にそっくりなので『オレオ』と命名した。
『お姉ちゃん!』
こっちの世界でも前世でも一人子だった私には、お姉ちゃん呼びはとても新鮮で鼻血が出るほど歓喜深い。それが例え、魔獣だろうと人間だろうと関係ない。
「また来たの?」
「その声は……」
眉を顰め、声のした方へ顔を向ける私の耳に『カイエン!』と尻尾を振りながらいつぞやのように飛び掛かるオレオの姿が目に入った。
何故かオレオが一番懐いているのはカイエンなのだ。当のカイエンも相も変わらず文句を口にしながらオレオを引き剝がそうと必死になっている。
「あ~ぁ、もういいよ。ほら、好きにしろよ」
引いて駄目なら押してみろ作戦で、地面に大の字で寝転がったカイエン。いい加減面倒になって、ヤケになっているようにも見える。
オレオは急に無防備に寝転がったカイエンに戸惑った様子を見せたが、それも一瞬だけ。ようやく自分を受け入れてくれたと思っているようで、目を輝かせて必要以上に舐め回している。
「あははははは!!」
こんなの笑わずにいられない。腹を抱えて笑っていると、刺すような鋭い視線を感じた。
視線の出処は言わずもがなカイエン。早く助けろと言わんばかりに殺気を放ってる。
(ヤバ…)
触らぬ神に祟りなし。という事で、素早くオレオを回収。
『えぇ、もうちょっと遊びたかった』
「うん。私の命が危ぶまれるから今日はここまでね?代わりにこれあげるから」
私は持ってきた籠から乾燥した肉を取り出した。
牛肉を乾燥させてジャーキーにした保存食。当然、人間も食べられる。
『うわぁ~……!』
オレオはその肉を口に咥えると、自分のお気に入りの場所へ持って行ってしまった。
「まったく、現金なヤツだよねぇ」
「仕方ないですよ。食欲に勝るものはありませんからね」
親になったような気持ちでオレオを見つめていると、ヴィクトル団長が見当たらない事に気が付いた。
「あれ?団長様は?」
いつもなら私が来れば一度は顔を見せてくれるのに、今日はまだない。
(忙しいのかな?)
団長が小娘相手に毎度顔を出す時点でおかしな話だが、姿を見ないと見ないで心配になる。
「あれ?シェンナちゃん聞いてないの?」
「何を?」
「団長、今頃お見合いしてるよぉ」
「……ん?」
あまりにも自然に言われたので一度では理解が出来ない。
「ワンモアプリーズ」
「だ~か~ら~、団長、今日、見合い」
強調するように単語単語で言われた。
「…………………はぁぁぁぁ!?!!!??!」