愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
6・5 孤高の心臓外科医の『憤り』
万智をベッドルームに誘いながらも事に及べなかった、翌日。
俺は光前寺総合病院の、理事長室を訪れていた。ソファに座って、理事長が来るのを待つ。
ここに来るのは、万智と顔合わせをしたあの日以来だ。あの時はまさか、万智がこんなにも俺の心を惹きつけるようになるとは思わなかった。
だが、彼女の顔を思い出すと、昨夜の後悔がよぎる。昨夜、俺は気持ちに任せて行動したせいで、急ぎすぎてしまった。
ベッドの上での、彼女の潤んだ目元。ぎゅっと閉じられたまぶたに強い拒否を感じてしまい、俺は慌てて彼女の上から退いて、ベッドルームを後にした。
どうしてあんなに急いでしまったのか。それほど、俺は万智に惹かれているのだ――。
このところ、万智はなんだか楽しそうな顔をしていることが多い。そんな優しい万智の耳元に、俺の贈ったイヤリングが揺れているのは、ぐっとくるものがある。
万智は芯が強い。しかも、真面目で頑固だ。だから、息抜きになればと――そして男として意識してもらえたらと、美術館やドライブに誘った。
無意識なのかもしれないが、万智はことあるごとに俺の贈ったイヤリングにそっと触れる。その行為が、どうしようもなく俺の心を乱した。
有明会のバザーは関わらなくていいと言われたおかげか、万智は有明会の会合にも顔を出していないようだ。
病院の花になにか嫌がらせをされるかもしれないと、俺は空き時間があるといつも花を見に行く。その甲斐あってか、沙久良の嫌がらせも最近はないようだった。
だが、有明会のバザーの日。万智が参加していると知って、どうも胸が騒いだ。
たまたまオペ予定が入っていなかった小玉先生を捕まえ、妻の様子を見に行かないかと声をかける。すると彼は、喜色満面で頷いてくれた。彼が愛妻家でよかった。
俺は光前寺総合病院の、理事長室を訪れていた。ソファに座って、理事長が来るのを待つ。
ここに来るのは、万智と顔合わせをしたあの日以来だ。あの時はまさか、万智がこんなにも俺の心を惹きつけるようになるとは思わなかった。
だが、彼女の顔を思い出すと、昨夜の後悔がよぎる。昨夜、俺は気持ちに任せて行動したせいで、急ぎすぎてしまった。
ベッドの上での、彼女の潤んだ目元。ぎゅっと閉じられたまぶたに強い拒否を感じてしまい、俺は慌てて彼女の上から退いて、ベッドルームを後にした。
どうしてあんなに急いでしまったのか。それほど、俺は万智に惹かれているのだ――。
このところ、万智はなんだか楽しそうな顔をしていることが多い。そんな優しい万智の耳元に、俺の贈ったイヤリングが揺れているのは、ぐっとくるものがある。
万智は芯が強い。しかも、真面目で頑固だ。だから、息抜きになればと――そして男として意識してもらえたらと、美術館やドライブに誘った。
無意識なのかもしれないが、万智はことあるごとに俺の贈ったイヤリングにそっと触れる。その行為が、どうしようもなく俺の心を乱した。
有明会のバザーは関わらなくていいと言われたおかげか、万智は有明会の会合にも顔を出していないようだ。
病院の花になにか嫌がらせをされるかもしれないと、俺は空き時間があるといつも花を見に行く。その甲斐あってか、沙久良の嫌がらせも最近はないようだった。
だが、有明会のバザーの日。万智が参加していると知って、どうも胸が騒いだ。
たまたまオペ予定が入っていなかった小玉先生を捕まえ、妻の様子を見に行かないかと声をかける。すると彼は、喜色満面で頷いてくれた。彼が愛妻家でよかった。