愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
エピローグ これからもずっと、愛しの旦那様
清々しい、新緑の季節。私は今日も玄関先で、瑞樹さんを見送っていた。
彼が黒の革靴に足を通す。私がアイロンをかけたシャツは、スーツとともに今日もぴしっと着こなされ、それだけで彼がかっこよく見える。
去年の今頃、ここに初めて立った。あの時は、妻になる者の義務として、彼を見送っていた。
だけど今、私がここに立っているのは、愛しい旦那様を見送るためだ。
靴を履き終え、こちらを向き直った瑞樹さんに私は告げる。
「お帰りは何時ごろになりそうですか?」
「今日は早く帰るよ。万智とご飯を食べるのが、楽しみなんだ」
その言葉につい、頬が緩んでしまう。ああ、幸せだ。
愛なんて、この世界に存在しないと思っていた。だけど今、確かに感じる。
私が幸せを感じるのは、ここに愛があるからだ。
そう思いながら、院長に就任したばかりの彼を見送る。
「私も後ほど、病院に伺いますね。受付横のお花、そろそろ交換しないと」
あの事件の後に有明会は解散されたが、私は相変わらず病院の花の管理を続けていた。
お花に触れるのは好きだし、それで病院を訪れるすべての人が、少しでも花を見て心を落ち着けてくれたら嬉しい。
今はまだ予定段階だが、有明会に代わる透明性のある会を設立し、病院のお花を守っていけたらいいなとも思っている。
「ああ。時間を合わせて、一緒にランチを取れたらいいな」
「はい」
こんなふうに、私のことを優先してくれる。そんな彼は私の、最愛の夫。そして、最高にかっこいいお医者様だ。彼が院長を努める光前寺総合病院には、そして私たちにも、きっと明るい未来がある。
そんな将来を想像しながら、私は今日も夫を送り出す。
「行ってらっしゃいませ、瑞樹さん」
「ああ、行ってくるよ。万智」
すると、瑞樹さんの唇がそっと私の頬に触れた。どきりと胸が跳ね、目を見開く。すると瑞樹さんは不敵な笑みを浮かべて、そのまま行ってしまった。
だけど、それがまた幸せだ。
私は最愛の夫のため、今日も一日頑張ろうと意気込むのだった。
【終】
彼が黒の革靴に足を通す。私がアイロンをかけたシャツは、スーツとともに今日もぴしっと着こなされ、それだけで彼がかっこよく見える。
去年の今頃、ここに初めて立った。あの時は、妻になる者の義務として、彼を見送っていた。
だけど今、私がここに立っているのは、愛しい旦那様を見送るためだ。
靴を履き終え、こちらを向き直った瑞樹さんに私は告げる。
「お帰りは何時ごろになりそうですか?」
「今日は早く帰るよ。万智とご飯を食べるのが、楽しみなんだ」
その言葉につい、頬が緩んでしまう。ああ、幸せだ。
愛なんて、この世界に存在しないと思っていた。だけど今、確かに感じる。
私が幸せを感じるのは、ここに愛があるからだ。
そう思いながら、院長に就任したばかりの彼を見送る。
「私も後ほど、病院に伺いますね。受付横のお花、そろそろ交換しないと」
あの事件の後に有明会は解散されたが、私は相変わらず病院の花の管理を続けていた。
お花に触れるのは好きだし、それで病院を訪れるすべての人が、少しでも花を見て心を落ち着けてくれたら嬉しい。
今はまだ予定段階だが、有明会に代わる透明性のある会を設立し、病院のお花を守っていけたらいいなとも思っている。
「ああ。時間を合わせて、一緒にランチを取れたらいいな」
「はい」
こんなふうに、私のことを優先してくれる。そんな彼は私の、最愛の夫。そして、最高にかっこいいお医者様だ。彼が院長を努める光前寺総合病院には、そして私たちにも、きっと明るい未来がある。
そんな将来を想像しながら、私は今日も夫を送り出す。
「行ってらっしゃいませ、瑞樹さん」
「ああ、行ってくるよ。万智」
すると、瑞樹さんの唇がそっと私の頬に触れた。どきりと胸が跳ね、目を見開く。すると瑞樹さんは不敵な笑みを浮かべて、そのまま行ってしまった。
だけど、それがまた幸せだ。
私は最愛の夫のため、今日も一日頑張ろうと意気込むのだった。
【終】


