悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~

▽エミリオ・ラスセルト

▽エミリオ・ラスセルト


 一体何が起こっているのか。

 突如呼び起こされて駆け付けた後宮で、また女官同士の諍いが起きていた。
 深夜だというのに何を考えているのか。しかもアイリスまで巻き込むなど。

 荒らされた後宮内の調査のため本宮から夜番の衛兵を数人応援に連れてきたが、そのままイレーヌ捕縛のための人手となりそうだ。
 そもそも後宮を荒らした犯人もイレーヌかもしれないが。

 騒ぎの元凶の一人であろうロベリアは、咎めるように睨みつけても知らん顔だった。
 意外なことに、アイリスの怪我の具合を心配しているらしい。

 そのことに違和感を覚えながらも、僕自身アイリスの傷の具合が心配だったので、癪だが彼女の言う通り治療を優先させることにした。

 アイリスを抱き上げ、部屋の外で控えていた兵士に見張りを頼み、大急ぎで医務室に駆け込む。
 当直の医官を仮眠から叩き起こし、アイリスの治療を命じる。

 「では患部を見せなさい」
 「はい」

 眠そうな医官の言葉に素直に従い、アイリスが自分の服を脱ごうとしたところで慌てて目を逸らす。

 「僕は外で待つよ」
 「いえ、いてください」

 気を利かせたつもりが、アイリスに止められてしまう。
 あんなことがあった後だ。不安なのだろう。

 「わかった」

 目を背けたまま頷く。ホッとした気配が伝わってきた。
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