悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~

▽ロベリア・ガーランド:一度目②

▽ロベリア・ガーランド:一度目②


 国王だけでなく、意図せずロエルまでも虜にしてしまった姉に、激しい憎悪を向ける者がいた。

 イレーヌ・カリスティア。
 何度も耳にした名前だ。公爵家の出身で、一時期は陛下の寵愛を大いに受け、次期王妃と目されたほどの美女。
 制度が確立した十年前から離宮に個室を与えられ、後宮のヌシのように威張り散らす上級女官。
 しかし美しいのは見た目ばかりで、苛烈で嫉妬深い性格ゆえに何人もの女官を後宮から追放した悪魔のような女。

 王妃の座を危うくするばかりか、情夫と揶揄されるほど通い詰めていたロエルを奪った大罪人として、イレーヌは姉を深く恨んでいたという。

 何度も手下のヴェロニカたちに命じて嫌がらせを繰り返したが、逆効果だった。
 健気に耐える姉に、国王もロエルもますます夢中になっていったそうだ。

 女官たちはその話を美談のように語るが、なぜ嫌がらせの事実を知っているくせにイレーヌを止めないのか。
 すぐにでもイレーヌを追放すれば、姉が耐える必要はなかったのに。
 そう言いたい気持ちを必死で堪えた。

 二人が一向に離れていかないことに痺れを切らしたイレーヌは、最後の手段として姉の頭から熱湯を浴びせかけた。
 いかれているとしか思えない。
 話を聞きながら、今すぐイレーヌを殺しに行きたい気持ちを抑えるのは大変だった。

 顔を中心に全身に火傷を負った姉は、ゴミクズのように捨てられた。
 元々気の強い女性が好みの国王だ。
 初めのうちは無欲で貞淑という物珍しさに惹かれたものの、すでに飽き始めていたというのもあるのだろう。
 皮膚が爛れ、日常生活に支障が出るほどの後遺症が残った姉を、醜くて不快という理由で、目に触れないよう下級女官に降格させた。

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