悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~

▽ロベリア・ガーランド:二度目②

▽ロベリア・ガーランド:二度目②


 四ヶ月後。体力もついて屋敷の隅々を何周も走り回れるようになったころ。
 姿見に映った私は、笑ってしまうほどに別人だった。
 きっと今の私を見ても、姉は分からないだろう。

 両親は大喜びで、手の平を返したように惜しみない賛辞を送ってくれた。
 以前の私なら嬉しさに胸をときめかせていただろう。
 だけどそれが愛でないことを、私はもう知っていた。

 マーロウ侯爵とやらに会わせる日程が決まったと、父が誇らしげに告げた約束の日。
 私は単身、王都へと向かった。

 誰にも何も告げず、こっそり辻馬車に乗り込んだ時は心臓が破裂しそうだった。
 姉があちこちの貴族令息からプレゼントされた貴金属類を懐に忍ばせ、姉を慕う侍女から譲り受けた庶民の服に身を包んで。
 すっかり目立つものへと変貌した顔を、帽子を目深に被って隠し、二度目の王都を目指した。

 仕事はすぐに見つかった。
 貴族の目に止まりやすい、高級なレストランだ。
 一番いいのは貴族のパトロンが期待できる舞台女優だが、悲しいことに歌が壊滅的に下手だった。

 王都一と名高いレストランは競争も激しく、採用基準も厳しかった。
 けれど言葉遣いや所作には問題なかったし、容姿も相まって即採用してもらえた。

 庶民らしくないという指摘に、没落した元貴族の娘だといえばすぐに納得してもらえた。
 働いているスタッフの中に、似たような境遇の女性は少なくないらしい。
 同情的な視線が後ろめたかったが、真面目に働くことで返すことにした。

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